(※写真はイメージです/PIXTA)

現役時代、年収が高かったという人は老後も余裕に感じるかもしれません。しかしながら、多くの退職金を受け取っていたり、現役時代にコツコツ貯めた資産があったりしても、無策で老後を迎えれば「老後破産」に陥る可能性があります。本記事では、田中正幸さん(仮名)の事例とともに、年金生活の思わぬ落とし穴について、FP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

きっかけは長女の離婚だが…

きっかけとなったのは長女の離婚と、長女が暮らす住宅のローンまでも自分で肩代わりして払っていたことでしょう。

 

しかしながら、さらに根本的な原因を考えてみると、田中さんが老後の家計の収支をしっかり考えないままに、子供たちへ無理な援助をしてしまったことにあります。

 

現役のころの年収は1,000万円を超え、資産が4,000万円以上もあり油断していた田中さんでしたが、毎月どの程度の支出があり、年金だけだと収支面でどの程度不足するのか、そして現時点で資産にはどの程度ゆとりを持てているのか、知らないままだったのです。

 

非情に無計画な年金の繰上げ受給

特に、無計画なまま年金を繰上げ受給してしまったことが問題です。本来、公的年金は65歳から受け取ることができるものですが、最短で60歳まで年金を受給する時期を繰り上げることができ、反対に75歳まで繰り下げることもできます。

 

その場合、1ヵ月繰り上げると0.5%減額(昭和37年4月1日以降生まれの方は0.4%)となり、5年(60ヵ月)繰り上げた田中さんの受給額は、30%減額になりました。

 

田中さんは60歳に繰り上げて受給していたため、本来ならば約200万円を受け取ることができたところを、繰り上げによる30%の減額によって計140万円、月額にして12万円に満たない程度しか受け取ることができなくなってしまったのです。

 

妻の良子さんは長年パート勤めでしたが、子供達の就職を期に退職。田中さんが退職した際は無職で2年近くのあいだ収入はなく、良子さんも同様に年金を繰り上げて受給していました。

 

そのため、毎月の生活費が27万円程度なのに対して受給額が12万円程度ですので、退職直後は毎月15万円が不足しており、良子さんが年金を受給開始したあとも毎月10万円が不足しているような状態です。

 

「資産があるから」

「毎月そんなにお金も使っていないし……」

 

そう思っていましたが、人生100年時代といわれる昨今において4,000万円の資産があっても、夫婦2人で100歳まで生きれば資産は底をついてしまうような状況だったのです。

 

しかし、「お金がある」と思い込んでいたために当初子供達に支援をし過ぎてしまい、70歳を過ぎたころには資産がほとんど底を突いてしまうという状態に陥ったのでした。

 

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