憲法で定められている「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する「生活保護」。厚生労働省『被保護者調査』から、正社員でも生活保護を受ける人たちの実情を紐解いていきます。
平均月33万円だが「47歳サラリーマン」の衝撃の給与額…頑張って働いても「生活保護以下」の地獄

驚くほど薄給…給与だけではとても生きていけない、生活保護を受ける正社員

正社員と非正規社員の間に大きな給与差が存在しますが、正社員であれば安泰かといえばそうではありません。

 

厚生労働省『令和4年度被保護者調査』によると、生活保護者(被保護人員=「現に保護を受けた人員」と「保護停止中の人員」とを合計したもの)は199万3,867人。そのうち働いている人は25万9,781人。そのうち正社員(平均年齢47.6歳)は1万1,738人。2022年の正社員は3,529万人なので、生活保護を受ける正社員は0.03%と極わずか。それでも「正社員であっても給与は生活保護費(最低生活費)以下」という人が存在することに衝撃です。

 

年齢別にみていくと、「男性」6,683人、「女性」5,055人と、少々男性の生活受給者が多い傾向にあります。また年齢別に生活保護を受ける正社員の人数をみていくと、最多は意外にも「50代前半」。続いて「50代後半」「40代後半」と続きます。

 

生活保護は手取り収入がその地域の最低生活費を下回った場合、その差分が支給される可能性があります。たとえば東京23区、20~40歳の最低生活費は、生活扶助基準額7万6,420円、住宅扶助基準額が5万3,700円。合計13万0,120円 。これが手取りだとすると、額面は16万円ほど。正社員でも額面16万円に満たないのは全国で1.8%で、年齢別にみていくと20代前半で2.9%と高く、また会社員人生において最も給与が高くなる50代後半でも100人に1人以上の水準です。

 

【最低生活費を給与が下回る正社員の割合】

20~24歳…2.9%

25~29歳…1.6%

30~34歳…1.5%

35~39歳…1.3%

40~44歳…1.1%

45~49歳…1.1%

50~54歳…1.1%

55~59歳…1.5%

※東京23区の場合

 

もちろん。最低生活費は家族構成や年齢などによって変わるので、一概に収入が最低生活費を下回るから生活保護を受けられるとは限りませんし、生活保護が認められるには、資産がない、頼れる親族がいないなどの要件をクリアする必要があります。

 

とはいえ、平均年齢47歳、月収16万円未満……正社員でも生活保護以下の給与で困窮するサラリーマンは、意外と身近にもいる存在です。

 

[参考資料]

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』

厚生労働省『令和4年度被保護者調査』