憲法で定められている「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する「生活保護」。厚生労働省『被保護者調査』から、生活保護を受ける年金生活者の実情を紐解いていきましょう。
年金月4万5,000円の70歳・独身男性「もう、生きていけない」の悲惨…役所に助けを求めるも、担当者にいわれた冷酷なひと言

おひとり様と高齢者の増加で「生活保護者」は右肩上がり

厚生労働省『令和4年度被保護者調査』によると、2022年(7月1日時点)の生活保護者世帯は161万9,452世帯。全国の世帯数は5,431万世帯なので、全世帯の3%が生活保護を受けている計算になります。

 

経年で生活保護世帯をみていくと、3年連続で前年を上回っています。また2018年、2019年は前年を下回ったものの、2000年以降、常に前年比プラスを記録しています。

 

驚きなのは、その増加幅。2000年の生活保護者世帯は72万4,561世帯と、いまの半分以下。100万世帯を超えたのは2005年で、この年、101万2,855万世帯を記録。2000年代、最も増加幅が大きかったのは、リーマンショックの影響も大きい2010年。前年121万5,214世帯から、136万1,149世帯と、12.01%の増加。近年は増加のスピードも緩やかになっています。

 

生活保護世帯の大幅な増加。その一因として挙げられるのが、単身世帯の増加と、高齢者世帯の増加。

 

生活保護世帯の家族構成に注目していくと、全161万9,452世帯のうち、単身世帯は135万4,614世帯と、実に84%を占めます。それだけ、単身者のほうが貧困に陥りやすいといえるでしょう。近年、進行する核家族化により、貧困状態に陥る単身者も増えていったと考えられます。

 

また全161万9,452世帯のうち、65歳以上の高齢者がいる高齢者世帯は91万1,055世帯。実に56%を占めます。さらに84万1,750世帯は単身の高齢者。元々、収入を得る手段が限られている高齢者の家計は脆弱なことが多く、さらに核家族化の進行によりおひとり様の高齢者が増加。家族の形態の変化により、生活保護を受ける世帯も増えていったといえるのです。

 

生活保護を受ける高齢者世帯を地域別にみていくと、世帯数が最も多いのは「東京都」で12万2,550世帯。「北海道」「埼玉県」「千葉県」「大阪府」と続きます。一方、高齢者世帯に占める生活保護世帯の割合でみていくと、全国平均は5.38%。そんななか、最も割合が高いのは「沖縄県」で7.2%。「東京都」「徳島県」「青森県」「佐賀県」と続きます。

 

【都道府県別「高齢者の生活保護世帯率」ワースト5】

1位「沖縄県」12,462世帯(7.20%)

2位「東京都」122,550世帯(6.91%)

3位「徳島県」6,223世帯(5.93%)

4位「青森県」9,017世帯(5.86%)

5位「佐賀県」3,845世帯(3.63%)