「老後は安泰」と思っていた家庭にも、いざセカンドライフに差し掛かると思いもよらぬ破産リスクが待ち受けている可能性があります。本記事では山下さん(仮名)の事例とともに、現実に起こり得る「老後破産のリスク」について、FP事務所MoneySmith代表の吉野裕一氏が解説します。
「2,600万円貯めたから安泰」年収1,000万円だった60歳定年の元サラリーマン、余裕の畑いじりも束の間…5年後、“まさかの年金受給額”に絶望。長い老後の〈悲惨な末路〉【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

畑は縮小、アルバイト生活へ

こんな状態になってしまっては打つ手立ても少なくなってしまいます。

 

65歳になって筆者のもとへ相談にやってきた山下さん。今回は、畑の面積を縮小し、無理のない程度でアルバイトなどを行うように提案しました。アルバイトに行っている時間には支出も少なくなることや多少の収入が増えることで、生活費の足しにできるためです。さらに、外食も多かった山下さんに外食の回数を減らすことや、ご夫婦で家計簿をつけることも提案しました。

 

夫婦の収入と支出を把握してもらうためです。妻は3歳年下なので、妻の老齢基礎年金が受け取れるようになると、月に6万6,250円の年金収入が増えるので、合計で23万6,639円になります。しかし、現在の生活水準ではこれでも生活費は不足することになります。

 

最近では、世界的なインフレで、日本でも物価上昇が進んでいることで、インフレに対する意識も少しずつ広がっているかもしれませんが、これまでの日本では、インフレに対する意識が低い人も多く見受けられました。現役時代から、老後の生活費は公的年金だけでは不足するという意識をもって、インフレに対応できるような資産形成を考えておくことが必要です。

 

現在の日本では、「貯蓄から投資へ」とインフレに対応できるような資産形成を勧めてきています。NISAやiDeCoを活用した目的に合った資産形成を行うことが大切になってきます。

 

 

吉野 裕一

FP事務所MoneySmith

代表