孤独死があった不動産物件は、その後どうなるのでしょう。孤独死の場合、死亡から日数が経過していると、遺体の腐敗が進行し、家が凄惨な状況となることもあり得ます。本記事ではBさんの事例とともに、戸建て自己所有住宅内での孤独死と、その後の対応について長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
年金月10万円、子のいない78歳伯父逝去で警察から連絡が来て…甥が直面した、まさかの事態。「まるで夏場の生ごみ袋に顔を突っ込んだよう」【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

子のいない伯父逝去、警察から連絡が来て…

<事例>

Aさん(78歳男性):無職、未婚独身、年金月10万円の収入

Bさん(42歳男性):会社員、Aさんの甥

Cさん(46歳女性):会社員、Aさんの姪

 

東京都内で会社員をしているBさんは、ある日、伯父のAさんが亡くなったことを警察から連絡を受け知りました。東北地方の故郷に住む伯父は、3年前に亡くなったBさんの母親の兄でした。どうやら孤独死だったらしく、Bさんは身元確認のために警察署に行く必要があるようです。

 

伯父は生涯独身で、すでにきょうだいは全員亡くなっています。地元には親族は誰もいません。Bさんは、急でしたが仕事を休み新幹線に乗って生まれ故郷に戻りました。

 

警察署で孤独死した状況の説明を受けました。すでに現場検証と検視が行われていて、事件性がないと判断されたため、死体検案書をもらい遺体の引き渡しとなりました。遺体や部屋の状況から、叔父はしばらく寝たきりになっていたと推測されるとのこと。死亡から2ヵ月程度経過していたらしく、遺体は腐乱していたようです。そのまま火葬することになり顔を見ることは叶いませんでした。

 

地元の地方銀行で働いていた伯父は30代で自宅を購入していました。当時は結婚をする予定があったのかもしれません。子供部屋がふたつある間取りで、延床面積40坪、土地面積70坪という広めの住宅です。ところが40代半ばで脳梗塞を発症し、障害が残ったため銀行を退職。住宅ローンが残っていましたが、Aさんの父親が亡くなったときの生命保険金を使って残債を完済したようです。それ以来、結婚することなく一人暮らしを続けていました。病気以来、身体が弱く、亡くなる直前にはもう一人での生活は無理な状態になっていたのかもしれません。

 

伯父Aさんは人付き合いもなく親族もBさんとBさんの姉のCさんしかいないため、宗教者を呼ばず火葬だけを行う「直葬」にしました。遺骨は都内の寺院に依頼し永代供養とすることに。

 

ひととおりの手続きが終わり、Bさんが伯父のAさんの自宅に入ってみたところ、その荒れ方に驚きました。足の踏み場もないほどゴミが散乱しています。いわゆるごみ屋敷というものでしょう。玄関前にもごみが積みあがっていて、どこで拾ってきたのかわからない自転車数台や電子レンジ、テレビアンテナなど粗大ごみにしか見えないものが大量にありました。

 

近所の方からも異様な目で見られていたに違いありません。そしてリビングのテレビの前に敷かれた布団には大きなシミが。夏場の生ごみの袋に顔を突っ込んだような強烈な悪臭がします。2ヵ月も遺体が放置され遺体から脂が染み出ていたようです。