混乱続く日本で「伸びている」数字
国土交通省の2月29日の発表によると、不動産価格指数(住宅)の推移は[図表]のとおり。
2020年にはコロナ禍の影響を多少受けたものの、東京の不動産価格はこの10年ほどにわたって、とんでもない伸びであることがわかります。令和5年11月分の調査では、住宅価格は前月比で1.1%減少したものの、商業用不動産価格は前期比で1.0%上昇したことが明らかになっています。
マンション人気には複数の要因が挙げられますが、その一つが「富裕層の需要増加」。大規模な金融政策が続いた結果、金融市場は活発化し、コロナ禍で「カネあまり」と呼ばれる現象が起きていたのです。
株式会社野村総合研究所は、「富裕層」「超富裕層」を対象に、コロナ禍における資産管理・運用の意識について調査していました(「富裕層アンケート調査」)。特徴的といえるのは、「複雑でわかりにくい商品よりも、シンプルでわかりやすい商品を好むようになった」が50%、「経済の先行きや、自分が管理・運用している資産に関して、積極的に情報収集や勉強をするようになった」が47%と、資産を自分自身で管理・把握する意識が向上している点でしょうか。
「自分の資産は自分で確かめる/自分が納得したものを選ぶ」が加速した結果、実生活において富裕層の「ブランド志向」が際立ったことを指摘する声もあります。
根強い「東京人気」が露わになっている?
富裕層の居住用マンションとして人気なのは、代名詞とも呼ぶべきタワマンほか、都内湾岸エリアの高級マンションです。
マンション人気に拍車をかけたのが、実は東京オリンピック。特に「晴海フラッグ」においては、五輪選手村としての相次ぐ報道に注目度が一気に高まった結果、資料請求が大幅に増加したことも話題になりました。
選手個人個人がSNSのアカウントで室内や外の景色を紹介することも増え、より居住生活が明かされたのも、安心感を醸成し、「ここで住んでみたい」という生活意欲を湧きやすくしたのかもしれません。
オリンピック後の不動産大暴落は長らく囁かれてきましたが、不動産価格は大暴落どころかいまだ上昇傾向。コロナ禍では都内から首都近郊に居住するムーブメントが一時的に起きましたが、結局のところ「東京人気」は根強いことがうかがえます。
物価高で生活に苦しむ人も多い一方、格差の開いていく日本。混乱が続くなか、市場動向に目を向けると、「一部の日本人のあまりに際立った生活」が明らかになっています。
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