転職したい企業の面接に臨む際、若い人は「できることが少ないので、落とされてしまうかも」などと考え、悩んでしまうことも少なくありません。また、熱意を伝えたいと思うがあまり、間違ったアピールをしてしまうケースもあります。そこで今回は、転職のプロである東京エグゼクティブ・サーチの代表取締役社長・福留拓人氏が、具体的な「志望動機のNG集」をお伝えするとともに、若い人が面接を受ける際に大切なことを解説します。
採用面接で「御社の商品やサービスのファンです」は逆効果?転職時の「志望動機NG集」【キャリアのプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

面接でやりがちな「志望動機NG集」

ここからは、面接で志望動機を伝える際にやりがちな「空回りのアピール」を4つご紹介します。

 

1. 志望する企業の商品やサービスのファンだとアピールする

「御社の商品やサービスの大ファンです」と言われて、いやな気持ちのする面接官はいないと思います。しかし、これで感動してくれるかというと、そんな甘いものではありません。おそらく「ありがとうございます」と返されて終わりです。「それに何の意味があるのですか」と追い打ちをかけるようなことは言われないでしょうが、それが企業側の心の声だと思います。

 

社会で評価の高いブランド企業などで、ファンであることを重視する採用を、私はほとんど見たことがありません。昔、某自動車メーカーが新卒採用を実施した際には、内定者の約30%について「運転免許を持っていない人」および「クルマにまったく興味のない人」を採りました。

 

日本で免許の取得率が60%だった時代で、4割の人がクルマに乗っていませんでした。その人たちにどうやってクルマを理解してもらうかと考えた時に、クルマの好きな人を採用する必要性はまったくないという結論に達したのです。このように、その企業の商品やサービスのファンであることにあまり意味はありません。面接の席でファンであることを表明することはやめておきましょう。

 

2. 「企業理念に共感しました」とアピールする

「御社の企業理念に共感しました」…これも不愉快に思う会社はないと思いますが、その共感がご自身とどうリンクしてどのような結果に結びつくのかがわかりません。ある程度、具体的な言及や推測に基づく仮説、過去のエピソードなどがないと、アピールポイントとしては非常に弱いと思います。むしろマイナスのポイントになってしまうことも多いので注意しましょう。

 

3. 「社会に貢献したい」とアピールする

「社会に貢献したい」…これは若い方に多いアピールです。企業の本音としてはどんな仕事であれ、反社会的な仕事をのぞけば、社会に役立たない仕事はありません。それが基本的な考え方です。光と影、縁の下の力持ち、いろいろな仕事の絡み合いで社会は成り立っています。

 

社会人経験が長いとそのあたりは実感としてわかりますが、若い人にはなかなかここのイメージがつかめません。企業イメージや強いプロダクトがあると、「社会に貢献している」と感じるのでしょうが、会社を志望する方々にとってのアピールポイントとしては非常に弱くなってしまいます。この点にも気をつけた方がよいでしょう。

 

4. 「スキルアップしたい」とアピールする

「御社に入社してしっかり勉強してスキルアップしたい」…これが面接官にいちばん嫌がられるアピールです。確かに企業は社会の公器といわれています。人を雇用し、人を育成し、人材を輩出するというところでは結果的に社会的使命を果たしています。

 

しかし、企業はボランティアで人を採用しているわけではありません。事業で成果を挙げてもらい、会社に貢献してもらい、それに見合った評価をして、報酬対価を得てもらうのが王道です。特に大事なのは適切な評価というところです。その結果、会社に入って学ぶことが多いかもしれません。しかし「学びたい」というアピールはプロフェッショナルの意識とは矛盾したような誤解を与えやすいと思います。

 

伝え方によって受け取る側の印象も変わるとは思いますので、「必ず成果を挙げる、その過程において厳しい仕事に積極的に飛び込んで自己研鑽に励むようなキャリアの歩みをしたい」、こういうニュアンスが伝われば成功だと思います。もしそういうメッセージがあるのであれば、反対に受け止められないように注意しながら思うところを伝えていただきたいと思います。

 

今回は、面接における志望動機のNG集をお伝えしました。最初にもお伝えしたとおり、若い人は、自分を大きく見せたりせずに「等身大の自分」をアピールすることが大切です。間違ったアピールをして逆に評価を下げてしまわないよう、くれぐれも気をつけましょう。

 

福留 拓人
東京エグゼクティブ・サーチ株式会社

代表取締役社長