素行調査で明らかに…女性の生活の実態
中原さんから依頼を受けて、女性の素行調査を実施したところ、弁護士の予想どおり、契約違反に該当する行為が発覚しました。
こちらが、素行調査の結果です。
11時36分:マンションの入り口から自宅に入る
13時18分:自宅を出る
13時29分:最寄りの駅から電車に乗る
13時45分:3駅離れた駅で電車を降りる
13時56分:スーパーに入る
14時12分:食料品などを買い、スーパーから出る
14時19分:住宅街の戸建て住宅に入る
その後、女性は戸建て住宅から出てくることはありませんでした。
この日の素行調査の結果を中原さんに報告したところ、中原さんはこう話しました。
「もしかするとその戸建てに住んでいて、うちのマンションには別の人が住んでいるのかもしれない。なんとなくそんな気がしていたんです」
そこで、別の日にマンションの部屋の出入りを調査することになりました。
その結果、女性の部屋に、訪問介護員が訪問していたことが発覚したのです。
その後、中原さんは女性に報告書を見せて問いただし、女性はこのマンションとは少し離れた場所にある戸建て住宅で生活し、このマンションには87歳の母親を住ませていたことが明らかになりました。87歳の母親は要介護状態で、その女性は母親の介護のためにほぼ毎日訪問していたのです。
オーナーに無断で契約者と異なる人物を住ませることは、「無断転貸」となり、契約違反に該当します。また、中原さんが所有しているマンションには、スロープや手すりなどが設置されていないため事故につながるリスクもあります。そのことを説明し、中原さんは無事に女性を退去させることができました。
「この女性のように怪しい入居者がいると、部屋の中が荒れ果てているのではないか、他の入居者とトラブルになるのではないかなどと、不安になります。そのような不安が大きなストレスになるので、無事に退去してもらえてほっとしました」
「この入居者は怪しい気がする」…直観は的中する?
マンションオーナーが特定の入居者に対して、「この人は怪しい」と感じた場合、その直観は的中していることが多いようです。特に長年、不動産経営を続けてきたオーナーは、経験則から不良入居者を見抜く感覚が磨かれています。
もちろん「怪しい気がする」という理由で入居者を退去させることはできません。また、家賃滞納などの問題行為があったとしても、借主は借地借家法によって手厚く保護されているため、それだけでは退去させることが難しいケースも多いです。
しかし、今回ご紹介したケースのように、素行調査を行うことで、契約違反に該当する行為が発覚することは多いです。契約違反の証拠となる写真を時系列にまとめた報告書見せれば、言い逃れをされることなく、スムーズに退去してもらうことができるので、諦めないでほしいと思います。
若梅 秀孝
MJ リサーチ綜合探偵社
取締役
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