“手の付けられない空き家”の発生を防ぐために…高齢の親族を持つ人には「事前の対処」が求められるワケ【空き家問題のプロが解説】

“手の付けられない空き家”の発生を防ぐために…高齢の親族を持つ人には「事前の対処」が求められるワケ【空き家問題のプロが解説】

身寄りのない叔母が急に倒れ、甥である筆者が入院費等の出費を立て替えることになりました。こうした事例は、長寿社会の日本では今後も多発するとみられるため、事前の対処について準備しておくことが重要です。本稿では、三木章裕氏の著書『実家の「空き家」超有効活用術』(フォレスト出版)より一部を抜粋し、筆者自身の経験から、“手の付けられない空き家”の発生を防ぐための心構えについて考えます。

「法定後見人」の申請を

さすがにこれ以上長期の入院が続くのであれば、なんらかの手立てを打たなければならないと感じ始めて、法定後見人の申請を裁判所に出すことにしました。

 

書類を作成して申請して面談を受けて法定後見人になるまでには、それから、また2カ月がかかりました。その間もずっと、私が叔母の支払いを立て替えていました。

 

私は、なんとか立て替えることができましたが、普通のサラリーマンの家庭で突然こんなことになると、家計はめちゃくちゃになるのではないかと思いました。

 

認知症になっていなくても、こんな急病や入院があると、高齢者は入院中にボケてしまう方が多く、正常な判断能力を失う方も多いと、病院の医師や看護師さんが言っていました。

 

法定後見人になると、叔母の口座名義は変更され、後見人名義の銀行口座になります。そこでやっと、叔母のところに入ってくる年金から入院費や生活費を払えるようになりました。

 

しかし、法定後見人は裁判所に選定されており、毎月の収支報告など、領収書とともに報告する義務が生じます。最近は、身内の後見人による横領が多いようで、かなり細かくチェック・監視されます。

 

どちらかというと、とても窮屈な制度で、例えば、庭の木を植木屋さんに剪定()を頼んでも、すぐ10万円は超えてしまいます。留守をして生え放題の雑草や木は、近隣に迷惑と環境の悪化を起こし、用心が悪くなります。

 

しかし、年金でギリギリの生活の叔母の支払いでは、そのようなものはかなり高額で、裁判所はあまりお金をかけさせて、叔母のお金が減るのを嫌がります。そのため、必要と思われることも、あまりお金を使うこともできず、実は裁判所に言わず、私が費用を支払ったものも結構ありました。

 

叔母が元気なら当然するであろうことでも、裁判所はそうは見てくれません。私が叔母のお金を好き勝手放題にしないよう監視の目は緩めません。

 

裁判所に監視されているような日々が、なんと結局、法定相続人に選定されてからも半年近く続き、叔母は静かに病院のベッドで亡くなりました。その間一度も酸素マスクも外せず、1食も食事をとらず点滴だけで生きていました。1年以上、点滴だけで生きていたのです。もちろん会話もままならずやせ細ってしまいました。最後は静かに病院の天井を見つめながら、眠るように亡くなりました。

 

病院に担ぎ込まれてからは、寝たきりで朦朧としたままでした。1年以上ずっと見舞いに来ていたこともわかっていたのかどうかわかりません。年がいってからも、元気で大きな声で笑っていた明るい人でしたが、もうそこにはその面影はありませんでした。

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実家の「空き家」超有効活用術

実家の「空き家」超有効活用術

三木 章裕

フォレスト出版

【放置しているだけで、年間コスト50万円以上! 実家が「空き家」になったときの有効活用法】 人口減少社会にある日本において 本格化してきている「空き家」問題。 「自分には関係ない」 と思っていたら大間違いです…

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