「円預金じゃ増えないから全資産を外貨預金に回しました」…安易な考えによる「大損」を回避するための基礎知識【経済アナリスト森永康平氏が解説】

「円預金じゃ増えないから全資産を外貨預金に回しました」…安易な考えによる「大損」を回避するための基礎知識【経済アナリスト森永康平氏が解説】

低金利の円預金ではお金が増えないからと、外貨預金に興味をもっている人も多いでしょう。しかし、良い点だけに目を向けて「全資産を外貨預金に入れる」などと考えるのは危険です。本記事では、人気経済アナリストの森永康平氏氏による著書『0からわかる!金利&為替超入門』(ソシム)から、金利の基本から外貨預金のメリット・デメリットまで、経済の基礎を解説します。

登場人物

森永康平…経済アナリスト。竹田と宮野に金利・為替の知識を教えてくれる。

 

竹田紗香…輸出企業である自動車部品メーカーに勤める会社員(20代)。出世のため仕事に打ち込む。

 

宮野聡…輸入企業である食品加工の企業に勤める会社員(20代)。住宅購入や投資を検討している。

【基本のおさらい】銀行預金で「利息」が付くのはなぜ?

竹田:銀行にお金を預けるだけでも利息を受け取れますよね。どうしてでしょうか?

 

森永:実際には銀行にお金を貸しているとイメージしたほうがわかりやすいかもしれません銀行は、融資をして利息を受け取るなど、さまざまな銀行業務を行って売上を生み出しています。その利益の一部を預金の利息として付けています。

 

竹田:利息は、銀行の利益の一部だったんですね。

 

森永:そうです。ちなみに、預金の利率は、口座の種類によって異なります。

 

宮野:昔は利率が高かったらしいですが、今はほとんど付きませんよね。

 

森永:確かに、バブル期には普通預金でも2%ほどの利率だったとされていますが、現在では普通預金で0.001%~0.25%。定期預金でも0.002%~0.35%ほどと、低い水準です。

 

[図表1]

 

銀行の金利は誰が決めているの?

竹田:銀行預金で付く金利って少額ですよね。誰がこの金利を決めているんですか?

 

森永:各銀行が、短期金利や長期金利を参考に決めています。

 

竹田:詳しく教えてください!

 

森永:短期金利とは、お金の貸し借りが1年未満のときに付く金利のこと。銀行預金の場合、銀行同士が1日だけお金を貸し借りする「無担保コール翌日物」の金利が指標になっています。そして、無担保コール翌日物の金利を決めているのが日本銀行です

 

宮野:金利を決めるのも日本銀行の仕事なんですね。じゃあ、長期金利は何ですか?

 

森永:お金の貸し借りが1年以上のときに付く金利です。通常は需要と供給に合わせて市場が決めますが、日本の場合は2016年以降、金融政策の一環で長期金利も日本銀行が操作しています

 

[図表2]

 

円安で注目度大の「外貨預金」は本当にお得?

 
 

宮野:日本の預金金利が低いなら、もっと金利が高い外国でお金を預けたほうがお得ですよね。

 

森永:日本でも、円を外貨に換えて預ける「外貨預金」を利用できますよ。適用される金利は、日本の預金金利ではなく外国の金利です。また、円安になればお金を引き出したときに為替差益が生じることもあります。

 

宮野:全資産を外貨預金に乗り換えます!

 

森永:ただし、手数料が割高ですし、円高になれば為替差損が発生し、場合によっては損失が出るケースもあります。

 

竹田:お金を預けただけで損失が出るのは嫌ですね……。

 

森永:また、外貨預金はペイオフ制度の対象外なので、外貨預金に充てる金額は慎重に検討しましょう

 

[図表3]

 

イラスト ©平松慶

 

 

森永 康平

株式会社マネネCEO、経済アナリスト

 

※本記事は『0からわかる!金利&為替超入門』(ソシム)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

 

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