「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

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(※写真はイメージです/PIXTA)

新制度のスタートによりますます注目が集まるNISA。近年、資産形成の手段として金融機関からもおすすめされることも多いようです。しかし、自分の目的に合わない金融商品を選んでしまうことで、かえって資産が減ってしまうケースも……。本記事では、鎌田さん(仮名/69歳)の事例とともに、NISAを始める際の注意点についてFPの小川洋平氏が解説します。

NISAだからと過信しない

まず、契約する際にしっかり商品の特性や支払う手数料などを確認し、自分の目的に合っているかを確認することが必要です。

 

途中で運用状況や保有資産についての通知が送られてきていたはずですので、内容をしっかりチェックしていただければ、早い段階で商品の特性に気が付き、対処することができたでしょう。

 

また、NISAの制度についても誤認したまま、全額をNISAで投資しているものだと誤認していたことも問題です。上限額や対象商品がどのようなものかなど、事前に確認が必要だったといえます。

 

今回問題となった毎月分配型の商品も、商品自体が問題なのではなく、公的年金の上乗せとして資産を取り崩しながら受け取るという目的でしたら、決して悪い選択肢ではありません。

 

ご自身に合った適正なリスクで、適正な手数料の商品を選べばしっかり目的に合った商品として活用できます。

 

NISAの制度についても概要をしっかり理解できていれば、全額をNISAで運用しているといった誤解も無かったことでしょう。年間120万円までが上限で、1年分の枠しか使えていないまま運用するようなこともなく、もっと効率よく利益を受け取ることもできたはずです。

 

2024年より新NISAがスタートし話題になっていますが、「NISA」という制度だからといって「いいものだ」と思い込み、売り手の言いなりになり商品を選んでしまうと、今回の鎌田さんのような商品を誤って購入してしまうこともあります。

 

最終的になんの商品を選ぶのか、どういった商品でどの程度手数料が発生するかをしっかり理解して購入する必要があります。

旧NISAと新NISAの違い

今回、NISAを始めて安心して投資を始めたつもりが、誤解によって資産を失ってしまった鎌田さんの事例をご紹介しました。

 

投資の利益を非課税で受け取ることができ、将来必要なお金のための資産形成、今あるお金の運用先としてまず検討したほうがいいでしょう。

 

また、従来のNISA制度では「一般NISA」か「つみたてNISA」かどちらかを選択しなければなりませんでした。しかし2024年以降は、一般NISAに相当する「成長投資枠」とつみたてNISAに相当する「つみたて投資枠」を両方利用することができます。

 

成長投資枠では年間240万円の上限、つみたて投資枠では年間120万円(月10万円)が上限となり、年間360万円まで、合計で1,800万円まで利益を非課税で投資することができます。まとまったお金を運用したいという方も、5年にわけて非課税投資枠をフル活用することができます。

 

つみたて投資枠には、従来のつみたてNISAと同様に長期の資産形成に適した商品しかラインナップしておりませんので、まずはつみたて投資枠から商品を選び、成長投資枠でも同じものを選ぶことで、今回の鎌田さんのような失敗は防ぐことができるでしょう。

 

そのためにはまず資産運用の基本である「長期分散投資」を学び、自分に合ったリスクの考え方や手数料も含めた商品の選び方を知ったうえで選ぶことが大切です。

 

「NISA」という言葉だけで反応して判断してしまうと、このような落とし穴もありますので、しっかり必要な知識を学んで上手に活用していきましょう。

 

 

小川 洋平
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