労働環境が悪く、社員が疲弊している「ブラック企業」。そのような会社は働き方改革が推進されているなかで絶滅するといわれていましたが、昨今は「新しいブラック企業」が話題となっています。みていきましょう。
「うちの会社、ブラックですね」「えっ⁉」月収23万円〈20代若手社員〉のツッコミに〈40代中堅社員〉絶句…働き方改革の落とし穴

働きやすいけど、成長できない(給与も増えない)…ゆるブラックを避ける若手社員

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』で大卒正社員の年齢別の平均給与をみていくと、月収は30代での伸び率が高く、以降は緩やかな増加。賞与も含む年収では、20代で3割増と大きく増え、以降は110~120%ほどの増加率です。

 

【年齢別「大卒正社員の平均給与」】

20~24歳:23.6万円/348.6万円

25~29歳:27.3万円(115.9%)/460.9万円(132.2%)

30~34歳:32.2万円(117.7%)/544.9万円(118.2%)

35~39歳:37.9万円(117.7%)/637.1万円(116.9%)

40~44歳:41.8万円(110.5%)/693.4万円(108.8%)

45~49歳:46.1万円(110.1%)/756.4万円(109.1%)

50~54歳:50.7万円(110.1%)/837.2万円(110.7%)

55~59歳:52.6万円(103.7%)/857.7万円(102.4%)

60~64歳:42.1万円(80.0%)/642.8万円(75.0%)

※数値左より、月収/年収。(かっこ)内は増加率

 

冒頭の会話。20代の平均的な給与の若手社員。対して、平均給与を下回る中堅社員。時間の拘束も少なく、休みもとれる。しかし給与は増えていかない……「きっと、この会社じゃ成長できない!」と感じてしまっているはず。

 

かつてブラック企業だった会社。働き方改革をとりあえず推進した結果、「社員を成長させる場」をつくることを怠ってしまった……「ゆるブラック企業」の誕生は、そのような流れでしょうか。働き方改革の思わぬ落とし穴、といえそうです。

 

成長できず、給与も増えない、そんな未来のない会社をいまどきの若者は敏感に察知し、避けようとしています。

 

株式会社インタツアーが25卒学生を対象とした『就活における「業界・企業選び」についての調査』によると、業界選択の軸は「やりがい」58.0%と、「働きやすさ」44.5%を上回りました。また「自分の能力を活かせる」など、個人の成長に関わる回答が多く挙がったといいます。

 

――最近の若者は、厳しいとすぐ辞めちゃうから

 

そんな一部分だけを切り取って、自らぬるい環境を作ってしまった「ゆるブラック企業」。個人のキャリア形成を重視するいまどきの若者は、「ブラック企業」と同様に避ける傾向があるといいます。

 

カタチだけの働き方改革を進めていないか……いま一度、確認する必要がありそうです。

 

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