老人ホームへの入居を検討する際にネックになるのが入居費用。希望する施設によっては、かなりの金額になることも珍しくはありません。そこで「自宅を売却して用立てる」というケースも。しかし、それが思わぬトラブルに発展することもあるようです。みていきましょう。
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老人ホーム…気になる入居費用はいくら?

年齢とともに身体の自由がきかなくなり、バリアフリー化されていない自宅では、その生活がしんどくなる……よくあることです。特にそうなったときにひとつの選択肢になるのが「老人ホーム」。

 

その種類はさまざまですが、数が多く入居しやすさから候補にあがりやすいのが、民間企業が運営する「有料老人ホーム」です。

 

厚生労働省『令和4年 社会福祉施設等調査』によると、2022年時点、有料老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅以外)は全国に1万7,327施設。2017年には1万3,525施設だったので、わずか5年で6,000施設も増加しました。高まり続けるニーズに対応するために、昨今、急激に数を増やしています。

 

有料老人ホームは大きく「健康型(自立型)有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム 」「介護付き有料老人ホーム」の3種類。

 

「健康型老人ホーム」は、食事や洗濯などの生活支援サービスを提供する施設で、身の回りのことをするのに支障のない、自立している人。要支援・要介護認定を受けると退去というケースがほとんどです。

 

「住宅型有料老人ホーム」は「生活支援サービス」がつき、「介護サービス」は外部サービスを利用するスタイル。介護度の低い人がメインとなる施設で、自立している人や重度の認知症患者はNGの場合もあります。

 

「介護付き有料老人ホーム」は「生活支援サービス」と「介護サービス」がセットになった施設。どちらかというと介護度の高い人向けで、重度の認知症患者にも対応する施設が多いのが特徴です。

 

「介護付き/住宅型有料老人ホーム」は「看取り」に対応する施設がほとんどで、「終の棲家」として人気が高まっています。

 

有料老人ホームへの入居でかかる費用は、まず初期費用となる「入居一時金」。そして「月額利用料」です。たとえば「介護付き老人ホーム」。入居一時金はゼロ~1,500万円程度、月額利用料は15万~30万円程度と幅があり、厚生労働省の調査では月額費用の平均は22万7,039円でした。

 

まとまったお金となる入居一時金は預貯金などの貯蓄から準備し、月額利用料は年金と貯蓄の取り崩しで対応するというのが基本です。

 

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金受給者の平均年金受給額は、14万4,982円。65歳以上の受給権者の平均年金月額は、男性が16万7,388円、女性が10万9,165円。平均額の「介護付き老人ホーム」であれば、毎月、男性は月5.3万円、女性は11.8万円ほど貯蓄を取り崩す計算です。