老人ホームへの入居を検討する際にネックになるのが入居費用。希望する施設によっては、かなりの金額になることも珍しくはありません。そこで「自宅を売却して用立てる」というケースも。しかし、それが思わぬトラブルに発展することもあるようです。みていきましょう。
年金月15万円の80歳父「俺、老人ホームに入るわ」に、伯母・叔父が「ふざけるな」と大激怒のワケ

気に入った「老人ホーム」は予算オーバーでした…80歳父の決断は?

――父が老人ホームに入りたいって

 

そう綴った50代女性。80歳になる父親は5年前に妻(母)を亡くし、以来、自宅で1人暮らし。しかし、最近、足腰が不自由となり要介護認定を受けました。妻を介護していた時の辛さから「家族に迷惑をかけたくない」が口癖。自宅での1人暮らしを諦め、老人ホームへの入居を決めたそうです。

 

女性は、父親と2人でいくつかの施設を見学し、納得のいく施設が見つかったとか。しかし「年金月15万円」だという父親にとって、その施設は明らかに予算オーバー。入居から2年ほどで貯蓄は底をつき、赤字となる計算です。入居を強行すれば、いずれ家族の誰かが負担しなければならなくなります。そこで父親は「自宅を売ればいいか」とひと言。自宅の売却資金で老人ホームの入居費用を用立てることに決めたといいます。

 

しかしこの話には続きがあり、女性はこの正月、「修羅場をみた」と投稿。毎年、親戚一同、父親の家に集まっていましたが、父親と父親のきょうだいで大喧嘩となり、楽しい雰囲気が一変したといいます。

 

きっかけは「今回がここ(父親が住んでいる家)での最後の集まりになる」と父親が切り出したこと。当然、親戚はみな「なぜ⁉」と頭に疑問符が浮かびます。そこで父親は「この家を売って、老人ホームに入るんだ」と理由を話し始めたところ、親戚一同はビックリ仰天。伯母と2人の叔父は「ふざけるな!」と、これまで見たことのないような大喧嘩を始めたというのです。

 

父親が住む家は三代に渡るもので、「長男だから」と祖父母から相続したもの。家は父親のもので間違いありませんが「親から継いだ大切な家を相談なしに売るなんて許せない」というのが伯母と叔父たちの主張。それに対し、「お前らが俺の面倒をみてくれるのか!」「俺に1人で死ねと言うのか!」と父は反論。話は平行線のまま幕切れとなったといいます。

 

いまのところ、そのあとの展開は分かりませんが、自宅の売却を充てにして老人ホーム費用を用立てることはよくあること。ただ自宅の売却に際し、トラブルが発生することは珍しくはありません。

 

ほかにも気をつけたいのが、自宅の売却のタイミング。老人ホームは、一度入居すれば安心というわけではなく、いわば賃貸住宅と同じ。「入居してみたものの、なんとなく合わない」ということもしばしば。そういう場合は、一度退去のうえ自宅に戻るというのがストレスフリーですが、すでに売却済みで戻る家がなかったら……我慢して入居を続けなければいけないという事態に。

 

老人ホームへの入居に際し、自宅を売却するのなら。老人ホームでの生活にも慣れ、「ここでずっと暮らしてもいいな」と思えるようになってから、というのが鉄則です。

 

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