1月13日、14日の2日間に渡って行われる「2024年度大学共通テスト」。約50万人の受験生、「合格」を目指して奮闘しているところですが、「祝!合格」となっても、喜んでばかりはいられない現実が待っています。みていきましょう。
年収650万円・平均的な大卒サラリーマンの子…「やった!大学合格」と歓喜もすぐに知る「絶望的未来」

大学生の半数が利用する「奨学金」…その先に待ち受ける「あまりに大変な未来」

世間では「子3人以上世帯の大学無償化」などと話題になっていますが、すでに大学生になろうかという子をもつ親は、たいてい蚊帳の外。子の誕生以来、徐々に増えていった教育費は、大学入学でいよいよ最大の山場を迎えます。ここを乗り越えられるかどうか、正念場です。

 

一方、そんな親の苦労を子は知らない……かといえばそんなことはなく、多くの大学生は親の苦労、家計の現状を知ることになります。日本学生支援機構『令和2年度 学生生活調査』によると、大学(昼間部)で奨学金の受給者は49.6%。不採用や希望したが申請しなかったというケースも含めると、57.8%と6割に迫ります。なぜ奨学金を利用するのか……理由は単純、家計が苦しいから。

 

そんな奨学金の利用状況について、労働者福祉中央協議会『奨学金や教育費負担に関するアンケート』をみていくと、借入額の平均は300万円強、月々の返済額は1.5万円ほど。そんな生活が15年ほど続く……浮かび上がってくるのは、そんな奨学金利用者の平均像です。奨学金という借金から解放されるのは、大学を卒業し、40歳になろうかとしているタイミング。完済まで、実に長い道のりです。

 

【奨学金の利用状況】

◆利用していた奨学金

有利子:61.4%、無利子:49.4%、給付:2.0%

 

◆借入額

平均値…310.0万円、中央値…278.6万円

 

◆毎月の返済額

平均値…1万5,226円、中央値…1万3,833万円

 

◆返済期間

平均値:14.5年、中央値…14.4年

 

奨学金の返済は、ライフイベントにも影響を与えることも。さまざまなライフイベントに対し、奨学金の返済が影響した(「大いに影響している」「やや影響している」の合計)という回答をみていくと、結婚や出産、子育て、住宅取得でおよそ3割。就職等で5割弱、貯蓄にいたっては6割強が「奨学金の返済のせいで……」という経験をしています。

 

【「奨学金の返済が影響した」割合】

結婚…37.5%

出産…31.1%

子育て…31.8%

持ち家取得…32.8%

仕事や就職先の選択…46.1%

貯蓄…65.6%

1人暮らしの決断…46.0%

 

――やった! 第一志望、合格!

 

そう歓喜したところで、親の収入だけでは大学には通えないという事実に直面。奨学金という借金を、20歳になる前に背負わされることになります。そしてその先に待ち受けるのは、結婚も出産もマイホーム購入も諦めなければならない未来かもしれない。絶望的な未来を知り、思わず憂鬱な気分になってしまう……大学進学を素直に喜ぶことができない、これが現実です。