給与を計算してみたら、最低賃金以下だった……ネットでよく目にするそんなつぶやき。「自分は最低賃金以下ではない、大丈夫」と安心するサラリーマンのなかには、数十年後に「そんなはずでは……」ととんでもない事態に直面するケースも珍しくないようです。みていきましょう。
「おれの給与、最低賃金以下」30代サラリーマン・月収16万円の実態…「おれは大丈夫だった」と安堵の同年代サラリーマンも30年後に衝撃 (※写真はイメージです/PIXTA)

給与は最低賃金を下回っていないが…基本給がやたら低い場合は要注意!

給与が最低賃金以下の可能性がある人の割合を年齢別にみていくと、まだ給与の安い20代前半では10人に1人は最低賃金以下の可能性があります。年齢を重ねるごとに給与はあがっていくこともあり、30代前半では50人に1人は最低賃金以下の水準となり、以降は1%台になります。

 

【サラリーマン(正社員)最低賃金以下の割合】

20代前半:10.1%

20代後半:3.7%

30代前半:2.6%

30代後半:1.8%

40代前半:1.4%

40代後半:1.4%

50代前半:1.6%

50代後半:2.1%

 

※所定内給与で算出しているため実際の数値とは異なります

 

――よかった、うちの会社は最低賃金以上だ

 

そう安堵した30代のサラリーマン。同年代、同じサラリーマンという立場ながら、安月給で虐げられている人もいる……他人と比較して安心感を覚えてしまうケースもあるでしょう。

 

しかし、給与が最低賃金以上だからといって安堵するのは早いかもしれません。あなたは、ちゃんと給与明細をみたことがあるでしょうか。主な給与項目をみていくと、基本給、役職手当、資格手当、住宅手当、家族手当、通勤手当、残業手当、深夜勤務手当……会社によってまちまちですが、基本給に色々な手当てがついて毎月の給与は支払われていることに気づきます。なかには、ふとこんな気づきがある人も

 

――基本給って、こんなに安いんだ

 

手取りは平均的。でもやたらと基本給が低く、役職手当やら営業手当やら、色々とついているパターンは結構な確率で見ることができます。「手取りがちゃんとあれば、関係ないだろう」と思いがちですが、基本給が低いことにはデメリットも。

 

基本給の低いデメリット① 手当カットの危険性

基本給は労働契約法に守られていますが、手当てはその範疇ではありません。つまり基本給は簡単に減らすことはできませんが、手当ては簡単にカットすることができるのです。「業績が悪いので、能力給を下げます」とか「営業手当を廃止します」など、会社都合で大幅な給与減という危険性も十分に考えられます。

 

基本給が低いデメリット② 退職金が低くなる

退職金は会社ごとに規定が異なり、算出法もまちまち。ただ多くの企業が採用しているのが「基本給連動型」です。「退職時の基本給×支給率(勤続年数により変動)×退職事由係数」で求めるものなので、基本給が低ければその分、退職金が低くなります。30代のサラリーマンであれば、定年退職金を手にするのは、20~30年後。そのとき、基本給が低いと「ずっとこの会社で頑張ってきたのに……」と、少なすぎる定年退職金に涙する、そんな悲劇に直面するわけです。残業代や賞与も基本給をベースにしているので、基本給が低いと、それらもグッと低くなっている可能性があります。

 

もし基本給が驚くほど低いなら、将来のマネープランにも大きな影響を与えます。いま一度、どのような項目で給与が支払われているのか、給与明細でしっかりと確認をしましょう。

 

[参考資料]

厚生労働省『最低賃金制度の概要』

厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』