給与を計算してみたら、最低賃金以下だった……ネットでよく目にするそんなつぶやき。「自分は最低賃金以下ではない、大丈夫」と安心するサラリーマンのなかには、数十年後に「そんなはずでは……」ととんでもない事態に直面するケースも珍しくないようです。みていきましょう。
「おれの給与、最低賃金以下」30代サラリーマン・月収16万円の実態…「おれは大丈夫だった」と安堵の同年代サラリーマンも30年後に衝撃 (※写真はイメージです/PIXTA)

あれ、給与を計算したら「最低賃金」を下回っている…

――おれの給与、最低賃金以下だった

 

30代のサラリーマンだという投稿。ネット上には同じような悲鳴にも近いつぶやきが散見されます。そもそも最低賃金とはどのようなものなのでしょうか。

 

最低賃金は、都道府県ごとに定められている「地域別最低賃金」と、特定の産業ごとに定められている「特定最低賃金」の2種類があります。私たちが「最低賃金」と聞いてイメージするのは前者。各都道府県ごとに定められているもので、その都道府県内の事業場で働くすべての労働者、および労働者を1人でも雇っている使用者に適用されます。

 

2023年10月以降、最低賃金は全国平均で1,004円(時間額)。最も最低賃金が高いのは「東京都」で1,113円。以下「神奈川県」1,112円、「大阪府」1,064円、「埼玉県」1,028円、「愛知県」1,027円と続きます。一方、最も最低賃金が低いのは「岩手県」で893円。以下「宮崎県」「鹿児島県」で897円。続いて「徳島県」「沖縄県」が896円、「鹿児島県」「沖縄県」が897円と続きます。

 

一方「特定(産業別)最低賃金」は、都道府県内の特定の産業について適用されているものと、全国を適用地域として特定産業について決定されるものの2つがあり、産業の労使が「地域別最低賃金」よりも高い水準で最低賃金を定めることが必要と認めた場合に設定されます。2023年1月時点、全国で225件ありますが、なかには「地域別最低賃金」の水準を下回り、効力を失っているものもみられます。

 

最低賃金は、いわゆる所定内給与といわれる「基本給」と「諸手当」が対象となりますが、諸手当のうち精皆勤手当、通勤手当、家族手当は対象外となります。

 

厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』によると、サラリーマン(正社員/平均年齢43.5歳)の平均給与(所定内給与)は35万3,600円、平均所定内実労働時間は167時間でした。最低賃金の全国平均1,004円で、平均的な労働時間だけ働いたとしたら16万7,668円。通勤手当等含めこの金額以下であれば、「おれ、最低賃金以下で働いているよ……」ということになります。