中国からの「デフレ輸入」の終焉
サプライチェーンとは、原材料の調達から製造、物流、販売までの、商品が消費者の手に届くまでの流れを指しています。
これまでは製造コストの安い国・地域で製品を作るため、たとえば中国に製造拠点を設ける米国企業がたくさんありました。アップルのiPhoneなどは、まさにその典型で、製造は基本的に中国です。
ところが、その中国と米国間の経済摩擦によって、米中関係は非常に悪化しています。そのうえ台湾問題もあり、下手をすれば軍事的な小競り合いがいつ生じてもおかしくない状況にあります。
そのような状況下で、いつまでも中国を「世界の工場」として頼り続けるわけにはいきません。
そのため、中国の製造拠点を、他の国・地域に移転させる動きが徐々に出始めていますが、何しろこれまで多額の投資を行って開発した製造拠点だけに、そうやすやすと他の国・地域に移転させるわけにもいきません。
というわけで、いずれ製造拠点を中国以外の国・地域に移転させるにしても、一気に、ドラスティックに移転させることはできません。
このように過渡期にある今、サプライチェーンの問題は深刻で、米国経済がインフレに襲われている最中でも、より製造コストの安い国・地域での製造が自由に行えず、しかもこれまで世界の工場として機能し続けてきた中国でも、労働コストが大幅に上昇しており、製品価格を安く抑えるのが極めて困難になってきているのです。
過去30年近くに及ぶ長さで続いてきた強い米国経済は、中国を世界の工場として、そこから安い製品を世界中に輸出して成り立ってきました。
しかし、ここまで説明してきたように、米国が、労働力など中国の潤沢でコストの低い経営資源を用いて成長するというビジネスモデルは、徐々に通用しなくなりつつあります。
そのうえ、パンデミックによる経済活動の低迷を避けるため、大規模な財政出動と大幅な金融緩和が重なってしまいました。このような状況下で、今後、景気が悪化したからという理由で金融を緩和すれば、瞬く間に物価は上昇傾向をたどり、インフレが昂進するリスクが高まります。
景気が低迷した時に、その対策として行われる財政出動、ならびに金融緩和のいずれも、インフレに阻まれてしまったのです。
金融緩和ができなければ、景気はいつまで経っても回復せず、株式市場にとってもネガティブな要因でしかありません。
中山 大輔
元JPモルガン・アセット・マネジメント ファンドマネジャー
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
