<ふるさと納税>「改悪された」といわれるが…それでも行う「メリット」はあるのか【税理士に聞く】

<ふるさと納税>「改悪された」といわれるが…それでも行う「メリット」はあるのか【税理士に聞く】
(※画像はイメージです/PIXTA)

物価上昇が続くなか、「節税」等、実質的な手取りをできるだけ多くする方法はきわめて重要です。そういった方法としてよく挙げられるものの一つに「ふるさと納税」があります。しかし、他方で10月から制度が「改悪」されたともいわれます。ふるさと納税とはどんなしくみなのか、これから行うとしたらどんなメリットがあるのか。税理士の黒瀧泰介氏(税理士法人グランサーズ共同代表)が解説します。

ふるさと納税のしくみとメリット

まず、ふるさと納税のしくみと、どんなメリットがあるのかについて解説します。

 

ふるさと納税は、任意の自治体に「寄付」を行ったら、税金から「寄付額-2,000円」の額が差し引かれて戻ってくるしくみです。よく「節税」と誤解されていますが、厳密にいえば節税ではありません。

 

寄付額を支払い、税金も支払ったうえで、「寄付額-2,000円」が戻ってくるだけなので、これだけみると、収支としては「-2,000円」ということになります。

 

ふるさと納税のメリットを正確に表現すると、税金が戻ってくること自体ではなく、寄付先の自治体から「返礼品」を受け取れることです。

 

実質的にみると「2,000円」と引き換えに「返礼品」をもらえることになります。したがって、返礼品の市場価値が2,000円よりも高ければ、その差額分だけ得をするということです。たとえば、4万円を寄付し、返礼品として1万円相当の「フグ鍋セット」を受け取った場合、寄付額のうち3万8,000円が税金から返ってきます。そして、自己負担2,000円と引き換えに1万円相当の物を獲得したことになるので、差額8,000円分だけ得をするということです([図表]参照)。

[図表]2,000円と引き換えに返礼品として1万円相当のフグ鍋セットを受け取る

 

納税者からみると、返礼品の市場価格が大きいほど「得をする」ということになります。このメリットを目当てに、ふるさと納税の制度を利用する人が年々増加してきています。

寄付後に税金の還付等を受けるための手続き

ふるさと納税を行ったあと、「寄付額-2,000円」を受け取るための手続きは2通りあります。「確定申告」と「ワンストップ特例」です。

 

このうち「ワンストップ特例」は、寄付先の自治体から送られてくる「申請書」を郵送するだけで済む簡易な方法です。ただし、利用するには以下の条件があります。

 

【ワンストップ特例を利用できる条件】

・ふるさと納税以外に確定申告または住民税の申告を行う必要がない

・1年間に寄付を行った先が5自治体以内

 

寄付先の自治体が居住自治体へ連絡し、翌年度分の住民税からの税額控除が行われます。申請書の郵送料や関連事務のコストは寄付先の自治体が負担します。

 

「確定申告」と「ワンストップ特例」とでは、返ってくる「税金」の額は全く同じですが、どの税金がどう返ってくるのかが異なります。違いは以下の通りです。

 

【確定申告】

・所得税:「(寄付額-2,000円)×所得税率」の額が返ってくる(還付)

・住民税:翌年支払う居住自治体の住民税の額から「寄付額-2,000円-所得税の還付額(上記の通り)」が控除される(税額控除)

 

【ワンストップ特例】

・所得税:(控除なし)

・住民税:翌年の住民税の額から「寄付額-2,000円」が差し引かれる(税額控除)

 

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