60歳定年がスタンダードになっているなか、再雇用され同じ会社で働き続けることもスタンダードになっています。しかし、そこにあるのは「定年退職後の社員」と「現役社員」が一緒に働くことの難しさ。ときに衝突が起きることもあるようです。
月収49万円・48歳のサラリーマン課長「いつまで上司づらしてんだよ」と憤慨…月収28万円・60代「定年再雇用組」の暴走 (※写真はイメージです/PIXTA)

「定年再雇用組」と「現社員」との軋轢…年下上司が苦労することは?

――定年後も慣れ親しんだ会社で働ける!

 

喜ぶ定年を迎えたベテラン社員たち。しかし一緒に働く社員たちは、みんな歓迎ムードというわけではありません。

 

パーソル総合研究所『シニア従業員とその同僚の就労意識に関する定量調査』で「自社のシニア従業員に対する処遇について不公平感があるか」と尋ねたところ、若い年代ほど「給料をもらい過ぎている」「成果以上に評価されている」と不公平感を抱き、20代社員では3割に達しています。

 

――定年退職した年寄りのくせに、なんで俺らよりも高い給与をもらっているんだよ

 

そんな思いが強いのでしょうか。そう思わせないためにも、退職後のベテラン社員は誰もが納得するパフォーマンスを発揮しなければなりません。

 

また定年退職をしたとはいえ、現社員にとっては先輩であり、なかには直属の上司だった、というケースもあるでしょう。前出の厚生労働省の調査によると、課長職の平均年齢は48.8歳。平均給与は月収で49.5万円、年収は801.0万円。そこに定年退職をした60歳の元上司が部下としてやってきた、としましょう。

 

元上司とはいえ、給与も役職も下。課長も堂々と上司づらをしていればいいのですが……。部下だったころのクセが抜けずに、ついつい丁寧すぎる敬語で話してしまう。元上司も上司だったころのクセが抜けずついつい命令口調。ときに部下という域を超えて自分勝手な判断で突き進んでしまうこともしばしば。48歳課長「いつまで上司づらしてんだよ!」と憤慨し、チームの雰囲気は最悪に。こうなってしまっては、元上司も現上司もお互いが不幸になってしまいます。

 

実際に元上司など、年上部下をもつ年下上司はどのような苦労をしているのでしょうか。サイボウズ株式会社『年上の部下へのマネジメント調査』によると、年下上司の76%が「年上部下との仕事はやりやすい」と回答。逆の見方をすると、4人1人は「やりにくさ」を感じています。

 

仕事のやりやすさの理由で最も多いのが「仕事を任せられるから」で40.0%。「相手が聞く耳をもっているから」35.2%、「相手のスキル・経験が十分だから」34.2%と続きます。一方で苦労する点を自由回答で聞いたところ、「固定化した価値観」「気を遣い、伝え方が難しい」「他メンバーとの関係調整が難しい」などの意見が多くあがったといいます。

 

【年上部下に苦労すること】

――昔のやり方を通されたり改定情報が入っていなかったりで、話が遠回りになる

――年上の部下のプライドを損ねないように指示しなければならず気を遣う

――自分のやり方を年下の部下に押し付ける傾向にある

 

出所:サイボウズ株式会社『年上の部下へのマネジメント調査』より

 

また年下上司の67.6%が「年上部下の価値観は変わらない」、58.6%が「年上部下と所属チームの人間関係において気を遣う」と回答しています。仕事を任せられるなど、信頼感が強みの「定年再雇用組」。一方で「強い固定観念」が業務において邪魔であったり、他メンバーとの関係で手を焼いたりなど、現上司は色々と苦労が多いようです。

 

再雇用で慣れ親しんだ会社で働けるとウキウキの定年退職者。ただ元部下が上司になったり、子どもと同じ年齢の社員たちと一緒に業務を進めなければならなかったりと、定年前とは色々と状況は変わるでしょう。現在、置かれている立場と役割をきちんと把握し、「老害」などといわれぬよう、柔らかい頭で業務にあたることが大切なようです。