2.管理組合内での発言権が強くなる
バルク買いのメリットとして2つめに挙げたいのが、管理組合内での発言権です。マンションには管理組合があって、その管理組合がマンションの管理方針を決めています。管理組合には1戸あたり1口の投票権があるので、多数決で物事を決める際には複数戸を所有している人は有利になります。
つまり、マンション内の一定割合の戸数を取得することで、マンションの運営を行う管理組合内での発言権が強くなるということです。
区分所有法によれば、管理組合の集会において通常の議案を議決する場合、「区分所有者の過半数」かつ「議決権の過半数」の賛成で可決することができるとされています。
「議決権」は、原則として各区分所有者の専有部分の割合で決まります。50平方メートルの部屋1室を持つ人と100平方メートルの部屋を3つ持つ人では、議決権に6倍の差があります。議決権が多いということは、大規模修繕の時期や備品購入などを決定する際の発言権が強いということになります。
もし、仮にマンション全体の専有面積の過半数を占めることができたら、管理組合の議案はオーナー自身で決めることができるようになるわけで、管理・運営については一棟買いをしたのと変わらなくなります。
一棟買いによるマンション投資を希望している人にとって、本当の一棟買いは高嶺の花かもしれません。
しかしながら、分譲マンションのバルク買いであれば実質的な一棟投資ができるので、検討する価値があるのではないでしょうか。
3.出口戦略でも有利に
先ほどから述べているように、分譲マンションは賃貸物件として建てられた投資用マンションよりもグレード感が総じて高めです。一般的に建物の造りや内装の品質に優れ、間取りの工夫、設備が充実しています。もともと仮住まいではなく、一生に一度の「終の住処」として購入する人が多いため、高い仕様が求められるからです。
また、共用部分も豪華なエントランスやラウンジなど、賃貸物件にはない施設が充実しています。同じ立地や同じ家賃水準の物件と比較して、客付けにおいて優位性があることは間違いありません。
希少性が高いため、強気の家賃設定も可能でしょう。不動産ポータルサイトで「分譲物件」「分譲貸し」などのカテゴリーが用意されているのも、こうしたニーズに応えるためです。
このように、一棟買いと同じようなメリットを持ちながら、出口戦略では一棟買いよりも有利な点があることは見逃せません。一棟売却は金額が大きいだけに買主を見つけるのに苦労することがありますが、バルク買いは1戸ずつ売却することも可能です。
しかも分譲マンションなので売主の対象は不動産投資だけでなく、自己居住を目的とした人たちも含まれます。急に現金が必要になったときや入居率が悪いときなど、こうした流動性の高さに救われる局面はあるはずです。
以上のように、バルク買いには異なる物件での複数の区分所有や一棟買いにはないメリットがあります。一棟買いのための資金調達で苦労することなく、区分所有よりも効率的に資産形成していきたいと考える人にとって、バルク買いは魅力的な投資方法と言えます。