マンション投資には「一棟物件」と「区分物件」という2つの選択肢があります。マンション投資を始めたいと思った際、一棟物件のほうがメリットが多いことはわかっていても、資金を用意しにくいことがネックとなります。そこで、一棟買いは無理でも規模感のあるマンション投資をしたいと考える人に向いているのが「バルク買い」です。本記事では、バルク買いについてのメリットや注意点などについて解説します。
「一棟買い」は資金が足りなくても…区分所有マンションを「バルク買い」する、これだけのメリット (※写真はイメージです/PIXTA)

バルク買いの注意点

次に、マンションのバルク買いにおける注意点も解説しておきましょう。バルク買いの物件選びにおける注意点は、2つあります。

 

1.リスクの分散性

1つめは、リスクの分散性についてです。一棟投資と区分投資を比べると、一棟投資は文字どおりマンションを一棟丸ごと所有するため収益性こそ高くはなりますが、その一方で当該マンションと「心中」するリスクを秘めています。

 

災害でダメージを受けてしまうといった直接的なリスクだけでなく、当該マンションの周辺環境が変化して需要が低下してしまうと、マンション全体の稼働率が下がってしまいます。

 

これに対して区分投資は、複数戸を所有する場合であっても立地や価格帯などが異なるマンションにまたがって所有することができるため、リスクの分散効果が得られます。

 

この傾向は、そのままバルク買いにも当てはまります。議決権の過半数を取得するほどの規模でバルク買いをすることは一棟買いと同等の効果が得られると述べました。これは同時に、一棟買いと同様のリスクを背負うことも意味します。

 

2.マンションの管理状態

2つめは、購入するマンションの管理状態に対する注意点です。バルク買いを検討しているマンションの管理組合が大規模修繕に備えてきちんと積立していなかったり、ずさんな管理をしていたりといった場合があります。

 

マンションの資産価値は管理状態によって大きく影響を受けるため、購入前の管理状態がどうだったのかを入念にチェックする必要があります。もしかすると売主はそのマンションの管理状態に嫌気が差して手放そうとしているのかもしれない、と考えたとしても考えすぎではないと思います。

 

バルク買いをすると議決権が多い分、管理に対する責任も重くなります。修繕積立金が十分でなければ大規模修繕時に負担する金額は大きくなりますし、それ以外にも面倒なことに巻き込まれるかもしれません。

 

必ず「重要事項に関わる調査報告書」を管理会社から入手して、マンションの管理・運営状況は事前に確認しておきましょう。それに併せて、なぜ売主がバルク売りを希望しているのかを確認することも大切です。

リスクを念頭に、バルク買いのチャンスは逃さない

分譲マンションのバルク買いには多くのメリットがあることがおわかりいただけたと思います。とはいえバルク買いにメリットを感じる投資家はほかにも多くいるため、いつでも簡単に買えるわけではありません。

 

そのため、不動産投資に精通した不動産会社と密接な関係性を構築して有益な情報が入りやすい状況を作っておくことが重要になります。

 

それと同時に、バルク買いには留意するべき注意点もあります。これらの注意点はいずれも事前の入念な情報チェックによって回避できるので、購入前の情報収集や調査を怠らないようにしましょう。

 

 

山崎 博久

リズム株式会社

アセットコンサルティング事業部長