③国民年金保険料の未納期間がある
たとえば会社を辞めた場合。次の会社で働くようになるまでに少々間があると、国民年金保険料が未納になりがち。たとえ1ヵ月であっても、給与から天引きされていない間は、自身で保険料を払わないといけません。払っていない期間があれば、当然、将来の年金額に影響を与えます。
④定年後も給与をもらい過ぎて…
60歳以降に厚生年金保険に加入しながら受ける老齢厚生年金を「在職老齢年金」といいますが、その年金月額と総報酬月額相当額*が48万円以下であれば年金は全額支給となり、そうでない場合は一部、または全額支給停止となります。
*(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
在職老齢年金による調整後の年金支給月額は「基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-48万円)÷2」で計算できます。
⑤そもそも20年後の年金額は…
現行の公的年金制度は2004年の年金制度改革で、年金の給付水準を調整する「マクロ経済スライド」が導入され、年金給付額の伸びが抑えられるようになりました。さらに2016年の年金改革法により、2021年4月からは名目手取り変動率がマイナスになり物価変動率を下回る場合、年金額には名目手取り変動率が用いられるようになりました。それにより、直近では、2021年度と2022年度の2年連続で年金額は減少しました。物価が上昇せず賃金水準も上がらないままだと、年金の給付水準は下がってしまうのです。
また公的年金財政の定期健康診断のようなものである「財政検証」では、年金を受け取り始める65歳における年金額が現役世代の賞与込みの手取り収入額と比較してどのくらいの割合かを示す「所得代替率」は、経済成長と労働参加が進む場合で2割程度の低下としています。これは年金が現在の水準の2割、目減りすることを意味します。もちろん賃金が上昇すれば、年金額も増える可能性がありますが、年金2割目減りは現実路線というのが専門家の大方の見方です。
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①〜③は、国民年金保険料の支払いや手続きの不備、④は自身の働き方、⑤は社会情勢が年金減額の理由です。⑤は自身でどうすることもできませんが、①~④については対策を講じることができます。特に①~③は保険料の追納や任意加入によって、満額受給に近づけることが可能です。