定年が近くなってきたら、誰もが自身のセカンドライフを真剣に考えるようになるでしょう。しかし多くの場合、「親の介護」という難問が立ちはだかります。心配なのは「介護にかかるお金」ですが、「何も心配することはない」という親でも、思わぬ落とし穴が潜んでいます。みていきましょう。
年金14万円・80代母「お金のことは心配ご無用」と笑顔も…50代長女が泣かされた「老人ホーム請求額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

介護が必要になったら…半数が「老人ホームに入りたい」

学校を卒業し、就職。40年近く会社人として働いてきたが、そろそろゴールテープが見えてきた……60歳手前、現役引退後のセカンドライフを意識するころ。自分だけのバラ色の人生を考えていればいいという人は稀で、多くの人が直面する問題が「親の介護」ではないでしょうか。

 

きっと親の年齢は80代。男女の平均寿命を考えると、夫(父)は亡くなり、妻(母)一人というケースが多いでしょう。「お母さん、1人暮らし、大丈夫かな……」。そんな心配はつきません。

 

アクサ生命が行った『介護に関する親と子の意識調査2019』によると、介護経験がない40代・50代が、親の介護で不安に思うことの1位は「介護費用」で54.4%。続いて「自分の仕事への影響」が44.4%。「自身の精神状態」36.4%、「介護場所・設備」36.0%、「自分の健康状態」35.6%と続きます。また男女別にみていくと、男性は仕事、女性は介護費用がトップでした。親の介護に対する意識には、男女差があるようです。

 

しかし「お母さん(お父さん)、介護が必要になったらどうする?」とはなかなか言いにくいですし、「私が要介護になったら、面倒をみてくれる?」と、前もって相談もしにくいもの。そんな煩わしい思いをしたくないと、「老人ホーム」への入居を決める人は増えています。

 

株式会社プラネットが4,000人から回答を得たという「高齢者介護の意識調査」で「介護が必要になったときに介護施設に入所したいか」を聞いたところ、「入所したい」が45.9%、「入所したくない」が54.1%。「入所したい」の理由のトップは「家族に迷惑をかけたくない」で73.1%でした。ちなみに「入所したくない」の理由のトップは「家で過ごすほうがいいから」で56.0%。

 

「家族に迷惑をかけたくない」という理由は、40代で68.9%、50代で72.7%、60代で74.0%、70代で88.8%と、高齢になるほど増えていくのが特徴です。

 

さらに「入所したい」と回答した人たちに、どれくらいの頻度で面会に来てほしいかを聞いたところ、最も多かったのが「1ヵ月に1回は来てほしい」で25.5%。「1週間に1回は来てほしい」が20.4%で続く一方で、「まったく来てくれなくてよい」が17.8%。とにかく「家族に迷惑をかけたくない」という思いの人が多いようです。