サラリーマンの平均給与だけでは…「私立中学なんてムリ!」な現状
以前ほど珍しいものではなくなった中学受験。特に都市部では「中学受験をするのが当たり前」といった感もあります。東京都教育委員会『令和5年度公立学校統計調査報告書』によると、令和4年度、東京区部では6万2,270人の児童が小学校を卒業しましたが、そのうち都内私立中学に進学したのは1万5,923人で、進学率は25.00%。4人に1人は私立中学へ進学しています。さらに都外の私立中学に通う子や、受験を経て国公立に通う子も含めると、それ以上の数になるでしょう。
さらに東京都23区のなかで最も私立中学への進学率が高い「文京区」。私立中学進学率49.50%と、2人に1人は私立中学に進学しています。「うちの子、中学受験はしません」といったものなら、「えっ、しないんですか?」と、逆に不審な顔をされそうな水準です(関連記事:『東京23区「私立中学進学率」ランキング1~23位…<令和5年度公立学校統計調査報告書>』)。
とはいえ、中学受験~進学で心配なのはお金。東京都『令和5年度 都内私立中学校の学費の状況』によると、都内私立中学の初年度納付金は平均98万9,125円。しかもこの物価高により、値上げが相次ぎ、前年から1万0,705円アップとなっています。
【東京都内私立中学の「初年度納付金」】
初年度納付金:98万9,125円
(内訳)
授業料:49万2,209円
入学金:26万3,020円
施設費:3万4,137円
その他:19万9,759円
出所:東京都『令和5年度 都内私立中学校の学費の状況』
第1子誕生時の平均年齢から考えると、私立中学合格を勝ち取った子どもの父親は40代前半。厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によるとサラリーマン(正社員)の平均給与は、40代前半で月収37.07万円、年収616.2万円。手取りにする月29万円ほどです。
また文部科学省「令和3年度子どもの学習費調査」で、子どもを私立中学に通わせている家庭の世帯年収をみていくと、年収1,200万円以上が4割。年収1,000万円以上を加えると、6割弱となります。平均的なサラリーマンだけの収入で私立中学に通わせるのは非現実的かもしれません。
【子を私立中学に通わせる家庭の世帯年収】
400万円未満:3.8%
400万~600万円未満:6.2%
600万~800万円未満:15.4%
800万~1,000万円未満:16.8%
1,000万~1,200万円未満:17.7%
1,200万円以上:40.1%
出所:文部科学省「令和3年度子どもの学習費調査」