ゲームをやめない子に「もう終わりにしなさい!」と叫ぶのが“実は悪手”なワケ【教育家が解説】

ゲームをやめない子に「もう終わりにしなさい!」と叫ぶのが“実は悪手”なワケ【教育家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

今の子どもたちは、生まれたときからスマートフォンやインターネットがあって当たり前のデジタルネイティブ世代。今の時代のゲームは、子どもたちがコンピューターサイエンスやITに触れるきっかけになっており、教育家・小川大介氏は、ゲームをIT教育に活用することをおすすめしています。とはいえ、子どもの健康においては心配になる面があることも確かです。ゲームのやりすぎを防ぐには? 小川氏の著書『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)より一部抜粋し、見ていきましょう。

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ゲームで遊ぶときは、親が時間をコントロールする

自分でコントロールする力がない幼児や低学年のお子さんの健康を守るのは、親の役目です。

 

たとえば、幼児や小学校低学年の子どもが、1日に1時間も2時間もゲームをしていたら、目への刺激が強すぎますし、情報がありすぎて脳への負担も大きいですから、当然、体にはよくありません。

 

今のパソコンやスマホは、解像度がかなり上がっています。光の量が多い分、それだけ刺激が強いということです。昔のブラウン管テレビを30分見るのと、スマホの画面を30分見るのとでは、意味が全然違います。特にスマホやタブレットの場合は、下向きに画面を見るので、姿勢が崩れやすく体への負担はかなりのものになります。

 

ですから、画面を見ない時間、休息の時間をきちんと取りましょう。お子さんの年齢に応じて、時間をコントロールしてあげてください。

 

休息を入れるタイミングとして私が目安にしている時間は、下記の通りです。

 

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●3〜4歳:15分

●5〜7歳(年長さん・小学1年生):20分

●8〜9歳(小学2・3年生):30分

●それ以上の年齢の子どもたち:30〜60分

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あくまで目安ですが、これを超えることが常態化しているようでしたら、付き合い方を少し考えてあげてほしいですね。

 

ゲームに限らず、テレビでもスマホの画面でも、あらゆる「画面もの」に言えることですが、「何分くらいなら許容範囲?」ということで迷ったら、NHKのEテレで、お子さんの年齢の子どもをターゲットにした番組を見てみてください。刺激の面でも集中力の面でもよく考えられて作られていますから、番組1回分の長さが、お子さんが画面を見る長さの参考になります。

時間が来てもゲームをやめようとしない子には?

■ゲームを始める前に時間や回数を決めておく

とはいえ、時間を決めておいても、「あと5分!」などと言ってやめようとしないことは往々にして起こりますね。

 

YouTubeなどの動画もそうですが、やりすぎを防ぐには、始める前に「20分遊んだら、おしまいにしようね」などと、時間や回数を決めておきましょう。

 

■離れた位置から「終わりにしなさい!」ではなく、近づいて「そろそろおしまいだよ」

時間が来たら、「そろそろおしまいだよ」と子どもに近づいてから声をかけます。離れたところから声をかけるのではなく、近づいて話しかけるのがポイントです。「もうちょっと」と言うことを聞かなかったとしても、「1回休憩しよう」「また明日にしよう」と、子どもの目を見て伝え、気持ちを落ち着かせてあげます。

 

ゲームで遊んだ直後は脳や体が興奮している状態ですから、言葉だけでは全然入ってきません。叱られている感じだけが伝わってきて、余計に興奮したり、反発したりしてしまうといったことが起きます。ですから、近づいたり子どもの目を見たり、時には抱きしめてあげたりして、「体を張って」止めなければならないのです。

 

画面を通して受ける脳への刺激はそのくらい強力なので、1、2回くらいではうまくいかないかもしれません。実際、すんなり言うことを聞く子のほうが少ないと思いますが、ここは親として辛抱強く関わる必要のあるところです。

 

■子どもに何かを伝えたいときは「笑顔→体温→言葉」の順にアプローチ

そこでひとつ、子どもへの関わり方の法則を覚えてください。

 

「笑顔→体温→言葉の法則」です。

 

子どもに何かを伝えたいときには、まずは親が笑顔によって安心を見せることがスタートです。そして背中を撫(な)でる、抱きしめるなどボディタッチをします。体温を通して肌感覚の安心を届けるのです。

 

ここまで来て、ようやく親の言葉が子どもの心に届きます。言葉で言い聞かせたいときほど、この「笑顔→体温→言葉の法則」を思い出してください。

 

イラスト:寺崎愛 出所:小川大介著『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)
イラスト:寺崎愛
出所:小川大介著『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)

ゲームや動画は「親に余裕があるとき」に

そういう意味では、子どもにゲームをさせたり動画を見せたりするときは、親が子どもと関わる余裕のあるタイミングを選ぶことをおすすめします。

 

親御さんがゲームや動画を子どもに与えるときというのは、忙しくてかまっていられないとき、少し静かにしていてほしいときが多いとは思います。

 

しかし子どもの健康を考えると、親に余裕がないときは、できるだけ与えないようにしたいものです。お子さんの健康のために、可能な範囲で頑張ってみていただきたいと思います。

 

 

小川 大介

教育家・見守る子育て研究所® 所長

 

1973年生まれ。京都大学法学部卒業。学生時代から大手受験予備校、大手進学塾で看板講師として活躍後、社会人プロ講師によるコーチング主体の中学受験専門個別指導塾SS-1を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。塾運営を後進に譲った後は、教育家として講演、人材育成、文筆業と多方面で活動している。6000回の面談で培った洞察力と的確な助言が評判。

受験学習はもとより、幼児期からの子どもの能力の伸ばし方や親子関係の築き方に関するアドバイスに定評があり、各メディアで活躍中(連載3本)。自らも「見守る子育て」を実践し、一人息子は電車の時刻表集めやアニメ「おじゃる丸」に熱中しながらも、中学受験で灘、開成、筑駒すべてに合格。

 

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※本連載は、小川大介氏の著書『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て

自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て

小川 大介

KADOKAWA

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