「それって、昭和ですか?」と言われたことのある、40代、50代のサラリーマンは多いのではないのでしょうか。終電まで働くなんて当たり前、毎日、会社のために尽くします……そんな昭和的な労働環境が未だに残っているところもあり、悲劇を引き起こしていることも。みていきましょう。
ツライ中間管理職…「月収39万円・40代サラリーマン」に訪れる悲劇 (※写真はイメージです/PIXTA)

肉体的にも精神的にも疲れ果てた「40代のサラリーマン」は…

長時間労働は是正の方向にあるものの、まだ道半ば。長時間労働による過労死もゼロにはなっていません。そもそも過労死は、過労死等防止対策推進法第2条で以下のように定義されています。

 

ア.業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡

イ.業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡

ウ.死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害

 

先日、閣議決定された厚生労働省『令和5年版過労死等防止対策白書』で、平成22年度から令和2年度の11年分の労災支給決定(認定)事案の分析結果をみていきましょう。

 

労災支給決定となった脳・心臓疾患事案2,928件のうち、男性が95.3%、女性が4.7%。発症時年齢は、最多が50代が37.2%、次いで40代が33.3%。死亡年齢では40代が最多で35.5%。50代は34.7%でした。また労働時間以外の負荷要因として最多が「拘束時間の長い勤務」で28.8%。「交代勤務・深夜勤務」が13.8%、「不規則な勤務」が12.8%でした。

 

一方、精神障害事案5,099件のうち、男性が66.6%、女性が33.4%。発症時年齢の最多は40代で29.1%。30代が28.9%、20代以下が22.2%でした。また自殺事案(未遂を除く)で最多は40代で31.3%。30代が24.5%、50代が19.9%でした。

 

長時間労働によって、脳・心臓疾患で死に至る。または心を病み、死を選んでしまう……そんな過労死で最多となるのが40代です。厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、40代前半サラリーマンの平均給与は月収で37.0万円、年収で612.6万円、40代後半で月収39.5万円、年収で693.1万円。会社員人生においてピークとなる50代に向けて、まさに踏ん張り時。また同調査で係長級の平均年齢が45.3歳、課長級の平均年齢が48.1歳ということから、中間管理職として奮闘している人も多いことがうかがえます。一方で、上司と部下の板挟みとなり、調整役としてストレスを抱える日々。通常業務に組織のマネジメント業務も加わり、残業は深夜までということも。長時間労働になることも珍しくないでしょう。

 

働き方改革が進み、長時間労働は是正されようとしていますが、仕事で強い不安、悩み、ストレスを感じている人は82.2%にのぼるとされています。政府は2027年までにこの数値を50%に未満にするとともに、メンタルヘルス対策に取り組んでいる会社を80%以上にすることを目標としています。2022年時点、従業員1,000人以上企業では99.7%に達していますが、50~99人企業で87.2%、30~49人企業で73.1%、10~29人企業で55.7%と、中小企業では十分とはいえません。企業規模に関わらず、身近に相談できる場所がある職場づくりが急務です。