新NISA、現行NISAからどこが変わる?
◆年間投資枠がアップ、非課税期間が無期限に
現行NISAと新NISAの違いについて確認しておきましょう。
現行NISAは、長期の積立・分散投資に適した投資信託(ETF)を対象とする「つみたてNISA」と、国内外の上場株式などの取引も可能な「一般NISA」の2種類の制度に分かれ、年単位でどちらか一方を選択するという仕組みです。
それに対して、2024年1月にスタートする新NISAでは、つみたてNISAと一般NISAが、それぞれ「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という名称に変わり、1つの制度に統合。併用することが可能になります。
新NISAの年間の非課税投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円、合計で360万円です。現行NISAでの年間投資枠は、一般NISAが120万円、つみたてNISAが40万円ですから、大幅に拡大されることになります。
また、現行NISAでは、一般NISAが5年間、つみたてNISAが20年間と、非課税期間が限られていますが、新NISA制度では無期限になります。
さらに、年間の非課税投資枠とは別に、生涯で活用できる非課税投資枠として「生涯投資枠」が新たに導入されました。生涯投資枠は1800万円、そのうち成長投資枠に使えるのは1200万円までです。
生涯投資枠の大きな特徴は、NISAで購入した商品を売却すると、その翌年に売却した分の非課税投資枠が復活するという点。
現行NISAでは、売却しても投資枠が復活することはありませんでしたが、新NISAでは売却分を再利用することができるため、より柔軟な活用が可能になります。
◆現行NISAから新NISAへの変更点
★現行NISA(~2023年12月末)
★新NISA(2024年1月~)
※ジュニアNISAは2023年末で廃止。投資した商品については、非課税期間(5年)終了後、自動的に継続管理勘定に移管され、18歳になるまで非課税で保有することが可能
【まとめ】
□ 新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つが併用可能に
□ 年間の非課税投資枠は合計で360万円に拡充
□ 1800万円の「生涯投資枠」が設けられた
非課税期間が「無期限」に…使い勝手が大幅アップ!
◆これまでよりも長期的かつ柔軟な活用が可能に
現行NISAでは、一般NISAで5年間、つみたてNISAで20年間と、非課税期間が限定されています。一方、新NISAでは、成長投資枠・つみたて投資枠ともに非課税期間が無期限になります。これにより30年や40年といった長期投資が非課税でできるようになり、複利の効果で資産が大きく増える効果が期待できます。
無期限化によって使い勝手も大きくアップします。現行NISAでは、非課税期間が終わると資産を売却するか、課税口座に移管することになっています。
「非課税期間が終わる間際に売却しようと思っていたら、ちょうど大暴落してしまった」という場合でも、どちらかを選ばなければならないわけです。こうしたケースでは、売却すると損失が確定してしまいますし、課税口座に移管して値上がりを待って売却すると、その値上がり益に対しては課税されてしまいます。
こうした非課税期間の限定によって存在したマイナスポイントが、新NISAではなくなります。非課税期間が無期限になることで、下落時には売らずに上がるまで待つことができるなど、長期的な投資戦略がとれるようになります。
非課税期間の期限を気にする必要がなくなれば、家計が苦しいときには積立を一旦中止し、余裕が生まれたら再開するということも気軽にできるようになります。制度の期限にとらわれずフレキシブルに非課税で投資を続けられることは、大きなメリットといえるでしょう。
◆積立は一生涯、長く続けられる
★無期限化で20年を超えた投資が可能に!
★積立の停止や再開も自由
【まとめ】
□ 非課税期間が無期限になり、より長期的な運用が可能に
□ 下落中に非課税期間が強制的に終わることがなくなる
□ 家計状況に合わせた投資がしやすくなる
酒井 富士子
経済ジャーナリスト、FP