「悔やんでます。就職しなかったことを…」沈みゆく日本、専業主婦・シニアの将来不安の軽減は〈とにかく働く〉一択なワケ

「悔やんでます。就職しなかったことを…」沈みゆく日本、専業主婦・シニアの将来不安の軽減は〈とにかく働く〉一択なワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

自分の老後に不安を覚え、資産形成を焦る人が増えています。しかし、アグレッシブな投資をすれば損失のリスクも高く、心配です。多くの人にお勧めできるのは「できるだけ長く働く」という方法。日々の生活を豊かにするだけでなく、将来的のさまざまなリスクも軽減できるからです。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

「投資で増やす」方法は、「リスク」があるので…

「老後資金が足りないから投資で増やす」というのは、危険な考え方です。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」ですから、投資で儲けようとガツガツすれば、損をする可能性も拡大します。

 

老後資金が足りないから増やそうと思ったのに、投資に失敗してしまったら、「惨めな老後」を覚悟しなくてはならないでしょう。それは避けたいですね。

 

筆者は、投資を嫌っているわけではありません。むしろ、「現金と預金ばかり持っていると、インフレが来たときに目減りしてしまうので、老後資金の一部はインフレに強い資産である米ドルや株式などに振り分けた方が安心だ」と考えています。儲けようという投資ではなく、悲惨な老後を避けるための分散投資というわけです。

 

具体的には、米国株の投資信託を毎月一定額積み立てる、といったところが手軽でしょう。積立NISAの枠が広がることもあり、可能な範囲で投信の積立を続ければよいと思います。

短時間しか働けない高齢者も、最近は仕事が見つかりやすい

働いて稼ぐのであれば、リスクはありません。最近の高齢者は元気ですから、定年後も働いて稼ぎましょう。筆者は「波平氏より元気な高齢者は働くべし」と主張しており、筆者自身も定年を迎えましたが、いまでも原稿を書いたり講演したりしています。

 

定年というのは、高度成長期に「バリバリ働けない年齢の人はお引き取り下さい」という制度だったのですが、サザエさんの登場人物である波平氏が54歳という設定であることを考えると、当時の定年が55歳であったことも納得ですね。

 

少し前までは、高齢者は仕事を探すのが大変でしたが、少子高齢化による労働力不足の時代ですから、最近では短時間しか働けない高齢者でも比較的簡単に仕事が見つかるようですので、探してみてはいかがでしょうか。

 

自営業者は定年がないので、元気な間は現役として稼ぐことができます。サラリーマンが定年後に働くと、一気に年収が激減するのと比べると、はるかに恵まれているといえるでしょう。

 

サラリーマンとくらべて年金が見劣りする点は悩ましいですが、一方で、「老後」を短くしてしまうことが容易なのですから、元気な間は働いてしっかり稼ぎましょう。

専業主婦が「厚生年金に加入できる働き方」をするメリット

最近の主婦は、パートで働いている人が多いでしょうが、その際には厚生年金に加入できるような働き方を選びましょう。厚生年金の加入要件は複雑ですが、大企業で週20時間以上働く、中小企業で週30時間以上働く、といったイメージですね。

 

サラリーマンの主婦は、年収等によっては年金保険料を払わなくてもよいので、年収が増えすぎないように働く時間を制限する人も多いようですが、厚生年金保険料を払っておくと、老後に年金が多く受け取れるので、平均寿命まで生きれば元がとれます。

 

そしてなにより、厚生年金に加入しておくと安心です。まずは、配偶者が永眠したあとに年金が激減するのを緩和してくれるからです。女性のほうが平均寿命が長いので、これは大きな安心材料といえるでしょう。

 

また、配偶者の失業、離婚といったリスクに対する備えにもなります。厚生年金に加入しないままで配偶者が失業したり、離婚したりすると「サラリーマンの専業主婦」ではなくなり、「国民年金の保険料を払い、老後は少ない年金を受け取る」ことになってしまいますから。そのような事態になってから、「就職しておけばよかった…」と悔やんでも遅いのです。

 

専業主婦も、子育てが一巡したら働きましょう。この場合も、厚生年金に加入できるような働き方が望ましいでしょう。高度成長期の主婦は、電気洗濯機もコンビニ弁当もない時代に子どもを大勢育てていたわけで、それにくらべれば、いまの主婦は時間的な余裕ははるかに大きいでしょうから。

 

高齢者と同様、1日数時間しか働けない主婦でも、最近は労働力不足ですから、探せば仕事が見つかるはずです。子育て中の主婦に配慮してくれる職場なども増えていると思われますので、探してみてはいかがでしょうか。

働くことは、老後資金以外のメリットも大きい

高齢者が働くことには「収入を得る」以外にも効用がありますから、フルタイムでなくても少しでも働きましょう。まず、定年で急に暇になるとボケる人も多いので、それを予防する効果が期待できるでしょう。社会との接点を保つと孤独感が和らぐでしょうし、誰かの役に立っているという満足感も得ることができるでしょう。

 

老後に大切なのは、老後資金だけではありません。「きょういく」と「きょうよう」も大切です。「今日行くところ」と「今日の用事」ですね(笑)。

 

主婦が働いて厚生年金に加入しておくことは、上記のように離婚や配偶者の失業に対する備えとなりますし、配偶者が永眠した後の年金の激減に備えることにもなるので、これもぜひ。

 

本稿は以上ですが、投資は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「ゴールドオンライン」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義
経済評論家

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

■入所一時金が1000万円を超える…「介護破産」の闇を知る

 

■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録