東京には、江戸時代に由来する地名が数多く残されています。今回は江戸時代に交通の要所として発展した街に焦点を当てていきます。
日本橋、品川、高井戸、新宿…江戸文化息つぐ「東京の街」を巡る【江戸歴史散歩⑥】 (※写真はイメージです/PIXTA)

板橋【板橋区】…中山道、1番目の宿駅

板橋宿「仲宿」
板橋宿「仲宿」

 

板橋という地名の由来は、滝野川(石神井川)に架かる橋がもともと板製だったことから「板橋」という名称になり、それが地名へと変わっていったとされています。最古の書写本とされる『延慶本平家物語』の記録によると、800年以上前の鎌倉時代から、その地名が使われていたことが分かります。

 

江戸時代の五街道の一つである江戸日本橋から京都に至る中山道(現在の旧中山道)の、江戸日本橋から1番目の宿駅であった板橋宿は、京都から江戸への入口となり、東海道の品川宿、甲州街道の内藤新宿、奥州街道・日光街道の千住宿とならび、江戸四宿(えどししゅく)の一つとして栄えました。板橋宿は中山道を挟んで形成された宿場町で、日本橋方面から「平尾宿」「仲宿(中宿)」「上宿」に分かれた3つの宿場を総称したものです。

 

板橋宿が人馬を提供する数は50人・50匹で、宿場を運営するために、名主(宿の行政を司る)・問屋(伝馬・商用荷物の継立てや御用通行人の宿泊手続き)・年寄(各業務の補佐)などの宿役人が置かれました。

 

江戸の入口として繁栄してきた板橋宿も、中山道の重要性の低下につれて寂れてゆき、明治時代になるとその終焉を迎え、板橋遊廓へと変貌していきました。なお、遊廓としての賑わいは昭和中期の太平洋戦争まで続いたということです。

 

【板橋周辺のおすすめスポット】

◆石神井川

荒川水系の支流の一つで東京都を流れる一級河川。公園や資料館など自然や文化を楽しむことができるスポットがたくさんあります

◆板橋区立熱帯環境植物館

通称「グリーンドームねったいかん」。大規模な温室施設で熱帯ジャングルや沼地、砂漠など植物の生育環境を再現。東南アジアの熱帯魚を飼育する大型水槽などもある。土日祝日は館内の喫茶店でアジア料理が楽しめます

◆東京都立赤塚公園

赤塚城跡を整備した広場や、野球やサッカー、テニス、陸上、プールなどのスポーツ施設が充実。バーベキュー場やキャンプ場もありアウトドアイベントにも最適な場所。じゃぶじゃぶ池の噴水は夏場水着で子供たちが戯れる人気スポットです

◆赤塚溜池公園

池や湿地帯など豊かな自然が広がり、多くの野鳥や植物が生息。「板橋十景」に選ばれるほど、板橋らしさを象徴する公園です。梅の名所としても知られ、毎年3月には梅まつりが開催、様々なイベントが楽しめます

◆前野原温泉 さやの湯処

源泉かけ流しの天然温泉を都内で味わえる日帰り温泉施設。うぐいす色の源泉風呂は優れた保温効果で「熱の湯」とも呼ばれ、神経痛、慢性リウマチ、冷え性にも効果的。他にも14種類のお風呂と岩盤浴(別料金)があります