東京には、江戸時代に由来する地名が数多く残されています。今回は江戸時代に交通の要所として発展した街に焦点を当てていきます。
日本橋、品川、高井戸、新宿…江戸文化息つぐ「東京の街」を巡る【江戸歴史散歩⑥】 (※写真はイメージです/PIXTA)

品川【品川区】…江戸時代屈指の宿場町として発展

品川駅前・オフィス街
品川駅前・オフィス街

 

品川は地域名で、元々は目黒川の下流から河口付近一帯の地域を指しましたが、港区の品川駅周辺も含めることがあります。名前の由来は、品よき地形であったところから、隣村の「高輪」に対して「品ヶ輪」と名付けたという説、目黒川の古名を「下無川(したなしがわ)」と言っていたことから品川になった説など諸説あります。

 

元は湊町だった品川周辺は、江戸時代には宿場町「品川宿」として栄えました。宿場は目黒川を挟んで南北に分かれており、享保7年(1722)に歩行新宿(かちしんしゅく。品川宿と高輪の間に存在していた茶屋町が宿場として認められたもの。宿場が本来負担する伝馬と歩行人足のうち、歩行人足だけを負担した新形態の宿場)が新たに加わりました。

 

宿場の繁栄は、共に『江戸四宿』と呼ばれた「中山道の板橋宿」・「甲州街道の内藤新宿」・「日光街道・奥州街道の千住宿」を凌ぐものであり、明和元年(1764)には飯売女(めしうりおんな)を500人まで認められると(板橋や千住は150人)、吉原に次ぐ盛り場となりました。また、御殿山など江戸から近い行楽地でもあったため、煮売屋などの飲食屋も多くありました。

 

近代の品川は、宿駅制の廃止と鉄道の開通によって宿場町としての機能は失われてしまいますが、北品川では多くの遊郭が営業を継続したことで商業施設が建ち並びました。また、目黒川流域の低地には大規模工場が立地し、その周辺の南品川では下請けの小規模工場が増え、工業地域として発展していきました。なお、遊郭としての賑わいは、昭和33年(1958)の売春防止法施行まで続いたとのことです。

 

【品川周辺のおすすめスポット】

◆品川神社

金運アップで有名なパワースポット。源頼朝が創設。龍の彫刻が施された石造鳥居や狛犬、塚など見所たくさん。6月上旬には「北の天王祭」と呼ばれる例大祭が開催

◆しながわ水族館

しながわ区民公園内にある水族館。1階の海面フロアでは生物の展示、スタジアムではイルカやアシカのショー、地下の海底フロアではトンネル水槽と多様な展示や催しが楽しめる

◆八ツ山橋

箱根駅伝の中継で有名な場所で、旧東海道品川宿を散策する際のスタート地点。橋の下は電車がたくさん通過する絶好の電車ビュースポット

◆マクセル アクアパーク品川

様々な生物が展示される屋内型水族館。品川駅から徒歩10分ほどとアクセスも良く、家族やカップルなどに最適なお出かけスポット

◆天王洲アイル

東京湾に面する人工島。再開発によりオフィスビルやショッピングモール、ホテル、アートギャラリーなどが集積するエリア。ドラマのロケ地としても有名

◆御殿山庭園

御殿山トラストシティ内にある、緑豊かなお散歩スポット。御殿山は江戸時代から桜の名所であり、桜の時期には多くのイベントが開かれ多くの人で賑わいます