出世になんて、興味ありません! そんな会社員が増えているといいます。しかし給与を上げたいと思っているなら、出世は不可欠。一生、その給与で我慢できますか? その先の人生にも大きな差となりますが、本当にいいですか? 出世によって生じる残酷な格差をみていきましょう。
月収45万円・59歳の〈万年係長〉「パッとしない会社員人生だったな…」同期部長と比べて唖然とする「絶望の年金額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

万年係長と部長にまで昇進した同期…あまりに大きい人生の差

45歳で係長に昇進した2人のサラリーマン。一方は係長のまま60歳の定年を迎え、一方は、49歳で課長、そして52歳で部長へと出世街道を順調に駆け上がったとしたら。万年係長のサラリーマン、生涯年収は2億2,777万円。それに対し、部長にまで昇りつめることができたサラリーマン、生涯年収は2億7,848万円。その差は5,000万円強にもなります。その差を知り、

 

……パッとしない会社員人生だったな

 

と、定年を前に大きなため息をつく万年係長。しかしこの給与差は退職金や65歳から受け取る公的年金にも大きな影響を及ぼします。

 

大企業の場合、60歳定年・勤続38年強で月収の40.0ヵ月分の退職金が支払われています。単純計算、退職金は、万年係長であれば1,600万円、部長であれば3,000万円。同期入社でありながら、退職金に倍近い格差が生じます。

 

次に公的年金。老齢厚生年金の計算で基本となる平均標準報酬額は、万年係長は47万円となり、部長は59万円となります。単純計算、万年係長の老齢厚生年金は月額10万3,000円ほど、老齢基礎年金と合わせると月16万9,000円。一方、部長は12万9,000円、老齢基礎年金と合わせて月19万5,000円。その差は月2万6,000円にもなります。

 

現役時代の給与差からすると、たった2万6,000円の差かもしれませんが、1年で30万円、10年で300万円、20年で600万円……収入の大部分が公的年金となる老後、もらえるものなら1円でも多くもらいたいというのが本音。そのようななか、月2万6,000円の格差は思わず唖然としてしまうほどのインパクトがあります。

 

多かれ少なかれ人は他人と比べてしまうもの。特にスタートラインが同じ同期入社であればなおさらです。「出世にも、給与アップにも興味なんてありません」といったものの、同期がどんどん出世していく様をみても、後輩が上司になっても、同じようなことをいっていられるのか……いま一度、自問自答を。あまりに丸出しというのも考えものですが、少しくらい出世欲が垣間見られるくらいが丁度いいのではないでしょうか。