片付けは「要らないものを手放すだけ」で8割がた終了
■「要・不要」の2択でものを手放す
整理収納は整理が8割。ものを使う、使わないで取捨選択して、要らないものを手放すだけで片付けは8割がた終了。収納は、すべてを整え終わった最後のステージです。
私も片付けを始めた頃は「長年連れ添ったものを捨てる」行為に踏ん切りがつかず、躊躇したこともありました。でも今は、片付けってもっとシンプルに考えればいいんだ、と思えるようになりました。
例えば、本当に大事なものは、そもそも手放すかどうかの候補にさえ挙がりませんよね?
高かったから残しておく? いえいえ、「高くても、使わなければ、ただのゴミ」「安くても、使いやすけりゃ、宝物」。ものの価値は値段で決まるものではないはずです。
「手放した後で必要になる“かも”」「いつか使う“かも”」で不安を持つ人も、捨てられないトラップのカモにされやすいのです。それに、どういう訳かものをたくさん持っている人ほど漠然とした不安感が募り、ものを減らした人ほど「まぁ、なんとかなっぺ〜」で本当になんとかできちゃう不思議。
ものを手放したとたん、それまで手放すかどうか悩んでいた時間も手放せて万事OK。「手放した後で後悔したくない」という気持ちもわかりますが、一度くらい失敗した方が、その後の「片付ける力」は確実に身につきます。だから、失敗を怖がる必要はありません! 最速で成功する人は、最速で失敗する人。心の中にある疑問は、やりながら考えればいいんです。
手放す基準は「1年以内に使うかどうか」。そして、「自分が管理し切れるかどうか」も判断基準のひとつです。ものが増えれば増えるほど、どこに何があるかを把握しておかなければならず、脳みそのキャパが占領されるから。
■片付けのハードルが高いと感じる人は、まずは「冷蔵庫1段」からスタート
ものを手放す基準がわかったところで、さて、どこから片付け始めればいいでしょう?
答えは、「まずは1か所どこからでもいい、使っていないものを手放していけばOK」です。
また、「家の中のものをすべて出さなきゃ」とか、「時間がかかるから無理」などと思われがちですが、片付けってそんなにハードルの高いものじゃありません。最初から森を見ず、その中の1本の木の、さらに枝1本から始めていけばいい。つまり、引き出しを1段引っ張り出して、中のものを要る、要らないと判別するだけでも立派な片付けです。
それでも躊躇してしまう方に、片付けの手始めとしておすすめなのが冷蔵庫。
食材なら消費期限や賞味期限などの期限=手放す基準があって、要・不要を判断しやすいからです。それに、食べきれていなかった乾物でも見つけたら、食費も浮いてスーパーラッキー☆
もちろん、1度にやる必要はありません。冷蔵庫なら、今日は右扉のドアポケット、次はチルド室、冷凍室、野菜室…と、引き出し1段くらいの狭い範囲から手をつければいいんです。
期限が切れたものを手放していくことで、捨てるという行為に罪悪感を持ってしまう人も、だんだん抵抗感がなくなっていきます。冷蔵庫から片付け始めるのは、使わないものを「手放す練習」にもなるのです。
それまでゼロに近かった頭の中の整理収納スイッチをONにして、判断力を鍛えていく。そのうちに、他の場所でも不要なものを「手放す」という行為が、徐々に容易になってくるはずです。
同じような理由で片付けやすいのは、財布、メイクポーチ、救急箱など。慣れてくれば、サクサクと進めていけるようになりますよ。
ものの「住所」が決まっていれば、ものが多くても片付けられる
■不要なものを追い出した後は、ものの「帰る場所」を決める
整理収納とは、「ものに用途があって、ものの住所が決まっているか」、それだけ。逆に言えば、用途としまう場所さえ決まっていれば、ものは多くても構いません。
え? ものを減らすのが片付けじゃないの?
実のところ、ものが多かろうが少なかろうが、そこはあまり問題ではありません。問題なのは、所有目的が不明瞭で、ものの場所が把握できないことなのです。
例えば、我が家にはハサミが5本ある時期がありました。キッチンに食材用とそれ以外用の2本、リビングに大人用と子どもの右利き用と、左利き用の3本です。5本のハサミはどれも使う用途があったのです。
要は、何を持っているかが把握できて、何のために持っているかが明確で、使いたい時にスッと出し入れできれば、ものの数は関係ない。片付けは暮らしをよりよくするために手放すのであって、ただ捨てることが目的ではありません。
とはいえ、ものが多くなればなるほど、私たちの脳内メモリの容量がいっぱいになってしまいます。いざという時にメモリ不足で大事な決断ができなかったり、判断を間違ったりしないためにも、ものは自分が把握できる量に減らしておく方が暮らし全体にもゆとりが出てくるはず。
■一度住所を決めれば、一生使いまわせる「片付けの仕組み」ができる
次に住所を決めるポイントです。それは、いかに簡単に、単純化して、使いやすい状態に収納するか。まずは、どこに収納すれば自分も家族も使いやすくなるか、生活動線に沿ってシミュレーションしてみましょう。
出かける前に「ハンカチ持った?」となるならそれは玄関に(図表2)。子どもたちがリビングで宿題をするなら、文房具はその近くがいい。お風呂上がりの着替えは、浴室の近くが便利かも。起きてすぐに着替えるため、家族全員分の洋服は寝室のファミリークローゼットに集約するなど、使う人の行動に合わせて、使い勝手の良い場所を決定します。
収納エリアが決まったら、今度は、そのエリアのどのあたりに入れる(置く)かを考えます。
この時、使う頻度の高いものに、一番出し入れがしやすい=特等席を用意します。一番出し入れしやすい位置は、だいたい人の腰の高さあたり。その特等席に入れるものの中でも、使う頻度が高い順に、手前→奥、と収納場所を使い分けるとさらにGOOD♪
毎日使うようなものは、扉や引き出しを少し開けただけのワンアクションで取り出せるのが理想です。
使用頻度の二番手、三番手は、特等席の上か下になりますが、落ちてきたら危ない重いもの(土鍋やホットプレートなど)は下に収納。逆に、背伸びや踏み台を使うなどして出し入れする上段の収納には、使用頻度が低く、軽いものを入れていきます(図表3)。
こうして住所を決めていけば、「使って→しまう」の仕組みはずっと使い回しができます。最初は時間がかかっても、手間は一時、仕組みは一生。使い勝手のいいように、自分たちにぴったりの仕組みを作ってしまいましょう。
なごみー
3男1女、4児の母。整理収納アドバイザー1級
6人家族、56平米賃貸暮らし。楽しい節約生活、暮らしの工夫をSNSで発信中の蓄財系整理収納アドバイザー。元借金あり、汚部屋で暮らすポンコツ主婦から一念発起して、子どもたちの教育費4000万円を貯めることを目標に、家庭内のすべてを見直したことで、何もかもがうまく回るように。ズボラ主婦ならではのハードルは低く、かつ効果抜群なお金が貯まる・暮らしが回る生活のテクニックがメディアで話題に。