綿密な資金計画のもと、終の棲家として「老人ホーム」に入居。安心できる毎日が続くと思っていた矢先、月利用料滞納の事実が発覚。なぜ、どうして……そこにあったのは家族の裏切りでした。みていきましょう。
許さない!年金16万円・80代男性「老人ホーム月額利用料」まさかの滞納…退去勧告に潜む〈家族の裏切り〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

老人ホームへの入居を検討…余裕の資金計画を考えたい

終の棲家として老人ホームへの入居を検討するとき、まずは初期費用とランニングコストを確認。老人ホームへの入居に際し、かかる費用は大きく最初に施設に支払う初期費用と月額費用の2つがあります。介護付き有料老人ホームや自立型老人ホームなどでは入居一時金を必要とする施設が多く、サ高住(サービス付き高齢者住宅)などでは敷金が必要となる施設が多いようです。一方、月額費用は介護保険給付の対象となる介護サービス費と、その他自費分に分けることができます。

 

厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』によると、65歳以上の高齢者がいる高齢者世帯における貯蓄額は平均1603.9万円。また借入額は平均52.9万円で、貯蓄額から借入額を引いた純貯蓄額は1,550万円ほどになります。これが初期費用を支払うときのベースと考えます。一方、高齢者世帯の平均所得は年間318.3万円で、月換算26.5万円。そのうち公的年金は199.9万円で月換算16.6万円です。公的年金は変動が少ないので、年金だけで月額費用が賄える施設であれば、より安心感があるでしょう。

 

さらに考えたいのが、入居から退去までのシミュレーション。

 

厚生労働省『令和3年簡易生命表』によると、2022年の日本人の平均寿命は女性が87.09歳、男性が81.05歳。一方で健康寿命は2019年値で、女性は75.38歳、男性は72.68歳。単純計算9~12年ほどは介護や支援が必要だったり、定期的に病院に通ったりしなければならない可能性が高いといえるでしょう。自立期間と要介護・支援期間では介護施設の費用は変わります。また自立型ホームへの入居を検討しているのなら、要介護対応の施設が関連施設にあると連携がスムーズです。

 

色々なことを想定して、トータルコストを算出。思った以上に長生きすることはよくあることなので、余裕をもって考えるのが鉄則です。終の棲家だと考えて施設に入居したのに予算ギリギリだとまったく安心できない、と本末転倒なことに。余分なコストも考慮してマネープランを組み立てていきます。