日本人の持ち家比率は?「地方なら持ち家一択」は間違い!?
総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」によると、2018年における日本全国の住宅数は約5,361万戸。そのうち持ち家は3,280万戸で61.2%を占めます。貸家は35.6%です(残り3.2%は所有関係不明)。
さらに都道府県別に見ていくと、持ち家住宅率が多いのは、
2位 富山県(76.8%)
3位 山形県(74.9%)
3位 福井県(74.9%)
5位 岐阜県(74.3%)
という順番です。東北地方、北陸地方が目立ちます。
しかし「地方は持ち家信仰が強い」などと根拠のない偏見で語るべきではありません。ここでのポイントは、平均年収が全国44位(厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」による)の秋田県がなぜ持ち家住宅率が1位なのかです。平均年収が低ければ住宅ローンを借りることが難しいはずです。
実は、この統計に「住宅の所有者である親と同居している子の世帯」がカウントされていることが原因です。つまり所得が低く親の持ち家に同居せざるをえない子供世帯が、持ち家とされているということです。決して新築住宅の購入が多い都道府県ではないのです。そのため単世帯での統計ではこれとは異なる結果となることが予想されます。
一方で、持ち家住宅率が低い順位です。
2位 東京都(45.0%)
3位 大阪府(54.7%)
4位 北海道(56.3%)
5位 愛知県(54.7%)
これらの都道府県に共通するのが、若者の人口流入が多く、世帯ごとの構成人数が少ないという点です。東京都、大阪府、愛知県は想像がしやすいでしょう。北海道の場合、地価が安いにもかかわらず持ち家住宅率が低いのは札幌市への若年層の流入の多さが原因です。札幌市だけを抜き出してみると持ち家住宅率は48.6%と非常に低くなっています。
沖縄県も北海道と同様で、那覇市への人口流入が原因と考えられます。また沖縄県は地価が上昇している一方で、平均年収は全国最下位です。この点から若年層が持ち家を購入しづらいという側面も考えられます。
持ち家住宅率が全般的に高い東北地方でも宮城県だけは58.1%と低いのも、やはり仙台市への人口流入が多いことが原因です。このように、統計にはそれぞれの都道府県の事情が見えてきます。住宅営業マンが持ち家住宅率を持ち出しても、新築住宅をいますぐ購入するべき理由の根拠にはなりえないでしょう。