賃貸経営が赤字になっても損益通算で所得税軽減に
給与と家賃収入の両方が毎月入ってくるのはうれしいことだが、気になるのが税金だ。だが、不動産投資には節税効果が期待できるというメリットもある。
もし不動産所得が赤字になったら、1年分の利益と損失を相殺する損益通算により、所得税の課税対象となる所得(課税所得金額)が少なくなるため、確定申告で払いすぎている税金が還付される。
とはいえ「賃貸経営が赤字になっていたらマズイのでは」と思うかもしれない。
しかし、不動産投資では減価償却費が経費として計上できるため、「キャッシュフロー(現金の流れ)は黒字」であっても「帳簿上は赤字」という状態があり得る。
減価償却とは、固定資産の購入費用を使用可能期間にわたり分けて費用計上する会計処理。不動産投資の場合は、建物の減価償却費が経費として認められている。
このほか、経費にできるのは管理費や修繕費、借入金利子(赤字の場合は土地にかかる借入金利子は損益通算の対象外)、租税公課(国や地方に収める税金など)、損害保険料、仲介手数料など。家賃収入から経費を引いた金額が赤字になると、課税所得金額が下がるため、税金が戻ってくるというわけだ。
例えば、課税所得金額(給与)が700万円で、不動産所得が▲134万円だった場合、課税所得金額は566万円に下がる。したがって、税金の還付が受けられるようになる。ただし、賃貸経営の赤字額が大きくなると金融機関の評価が悪くなり、次に借りる時に不利となる可能性もある。
投資用不動産の所有は相続対策にも有効となる
また、不動産投資は相続対策としても有効だ。投資用不動産(投資を目的として保有する建物・土地)は、時価で計算される現金や株式とは違い、評価額で計算される。評価額が低いほど支払う相続税は少なくなり節税になるというわけだ。
一般に投資用不動産の評価額は、建物が取得価格の50~60%程度、土地は地価公示価格の80%程度になることが多く、さらにマンション用地は20%程度が減額される。相続対策を考えているなら、相続税の対象となる価額を大幅に圧縮できる点も見逃せないだろう。