企業「賃金上げた!」でも、サラリーマン「給与が上がらない…」のワケ
厚生労働省『令和4年度 賃金構造基本統計調査』によると、日本のサラリーマン(正社員)の平均給与は、月収で35.3万円、年収で579.8万円。40代前半では、月収で37.0万円、年収で616.2万円、手取りにすると月々29万円といったところ。そこから家賃、または住宅ローンを払い、光熱費、食費、子どもの教育費……育ち盛りの子どもを含む、家族4人を養っていくには少々心許ない給与です。「サイゼで精一杯」というのは本音だったかもしれません。
さらに同調査でサラリーマンの平均月収を平成2年から令和元年までの推移をみていくと、令和元年(2019年)の平均月収は33.8万円。平成2年(1990年)は29.0万円ですから、「おっ、30年で4万円ほど給与はあがっているのか」と思うかもしれません。しかし33万円台に突入したのは1995年。つまり日本では25年間、四半世紀近くも「給与は据え置き」という状態が続いています。日本のサラリーマン、「給与が上がらないこと」に慣れてしまっています。
また厚生労働省『毎月勤労統計調査 令和5年7月分結果速報』によると、現金給与総額は38万0,656円で前年同月比1.3%増となったものの、実質賃金はマイナス2.5%。マイナスは16カ月連続。物価高の勢いに賃金の伸びが追いつかず、減少幅は6月の1.6%から拡大しています。お父さんの給与、額面では増えていても支出はそれ以上に増え、結果「給与が上がらない……」とこぼしてしまっても仕方がない状況なのです。
デフレが続き、給与アップがないのも当たり前だった日本のサラリーマン。世界的な物価高を背景に「デフレ脱却のチャンス」、さらには「賃金アップのチャンス」と騒がれている昨今。果たして、物価高を賃金増を上回るときは来るのか。「賃金アップを実感できるのは、早くて来年以降」というのが専門家たちの大方の見方。私たちは、その時までグッと堪えるしかなさそうです。