老後に向けた貯蓄の目安として多くの人が「2,000万円」を挙げるワケ
厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、日本のサラリーマンの平均月収(きまって支給する現金給与額/正社員・正職員計/男女計/学歴計)は35万8,500円。賞与も含めた年収は、推定530万5,500円です。
給与額を年齢別にみるとまだまだ年功序列が色濃く残っており、30代で月収30万円突破、59代で月収40万円突破と、年齢があがるとともに給与は増えていき、50代後半で月収42万3,400円、年収は推定640万3,000円とピークに。60歳でいったん定年となり、雇用形態が嘱託社員等に変わるため、給与はおよそ2~3割減少します。
一方で貯蓄額はどうでしょうか。総務省『家計調査』(2022年)によると、平均貯蓄額は1,508万円、負債額が879万円。貯蓄額から負債額を差し引いた純貯蓄額は、平均629万円です。こちらも年齢別に平均値をみていくと、40代では貯蓄額1,156万円に対し負債額1,246万円。30~40代では「住宅・土地のための負債」が1,000万円を超えています。貯蓄額が負債額を上回るのは50代。60代では貯蓄額2,180万円、平均負債額249万円で、おおむね2,000万円の資産を持って老後生活に突入していくというのが、平均的な姿です。
【年齢別「貯蓄額」「負債額」の推移】
~29歳:438万円/741万円/▲303万円
30~39歳:864万円/1,575万円/▲711万円
40~49歳:1,156万円/1,246万円/▲90万円
50~59歳:1,800万円/608万円/1,192万円
60~69歳:2,180万円/249万円/1,931万円
70歳~:2,191万円/173万円/2,018万円
出所:総務省『家計調査』より
※数値左より、「貯蓄額」「負債額」「純貯蓄額(貯蓄額-負債額)」
金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が公表した報告書がきっかけで、「老後資金2,000万円問題」が大きく取りざたされたのは2019年のこと。いまや、多くの人が老後に向けた資産形成の目安として「2,000万円」を挙げるほど、この問題意識は国民に広く定着しました。