(※写真はイメージです/PIXTA)

都内でも豪邸が並ぶ高級住宅街。先祖代々受け継がれてきた住まいも多い街で、昨今、自宅を売却するケースが後を絶たないといいます。なぜなのでしょうか。西口孟志税理士事務所の西口孟志税理士が解説します。

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    元気なうちに「不動産を処分する」という争族対策

    前述のような相続時のトラブルを未然に防ぐためには、あらかじめ家族で相続に関して相談しておくことや、遺言書を作成しておくことも重要ですが、元気なうちに自宅を売却してしまうということも一つの選択肢です。相続税評価額は時価のおよそ8割の金額だと言われていますので、相続税評価額が9,000万円の自宅を売却すれば1億円以上の金額で売却できるかもしれません。

     

    売却後は賃貸暮らしにするなど、生活費は増えるかもしれませんが、相続財産を預貯金で残しておくことは、財産を分けやすさという点では非常にメリットは大きいです。相続する予定の方々の仲が良くないときや疎遠であるときなど、事前に揉めてしまう可能性が高い場合には、検討する価値は大いにあるでしょう。大丈夫だと思っている方でも、実際にお金が関わってくると、意見が合わなくなることはよくあります。

     

    高橋さんは、現在は息子さん達の仲は問題ないとのことでしたが、今後どうなるかも分からないことや、息子たちに税金を負担させるのも嫌い、「息子たちに大変な思いをしてほしくない」と、自宅を売却することを決められました。

     

    ただし、自宅を生前に売却することは、すべてのケースでお勧めできる訳ではありません。一般的に預貯金で相続するより、不動産で相続した方が相続税は安くなることが多いです。特に小規模宅地等の特例を利用できる場合には、その差が大きくなることが予想されます。実際に自宅の売却を考える際には、税理士などの専門家の話も聞いてみることをお勧めします。

    日本の高級住宅街に共通する「相続にまつわる大問題」

    昨今、田園調布や成城学園などの高級住宅街と呼ばれる街で空き家が増えてきています。そこには様々な理由が存在していますが、そのひとつに今回お話した相続時のトラブルで、売るに売れなくなってしまって空き家のままになっているというものも含まれています。

     

    相続が発生した後に、物件が売れないと相続税が払えないという状態になると、安い価格で売却せざるを得ないということもあり得ます。子供たちに不便をかけてしまわないかと心配な人も、実家を相続するときの相続税が心配な人も、この機会に一度、家族で話してみてはいかがでしょうか。

     

    *1:小規模宅地等の特例

    被相続人の居住用の土地を相続した場合に、一定の要件を満たしたときは、その相続税評価額を50%~80%減額できる特例。財産を取得した人が被相続人と同居していること等の要件を満たすことが必要です。

     

    *2:相続税額の計算

    9,000万円-4,200万円=4,800万円

    4,800万円×20%-200万円=760万円

     

    ◆参考:国土交通省 令和5年地価公示:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000043.html

     

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