マイホームを実現する人の平均年齢は40歳。しかし、念願叶って浮かれていると、30年後に恐ろしい事態に陥ることもあると、FP事務所MoneySmith代表の吉野裕一氏はいいます。本記事では、山口さん(仮名)の事例とともに計画的な住宅ローン返済計画の立て方について解説します。
やっと、マイホームを手に入れた…年収650万円の40歳・3児の父、喜びを噛みしめるも、70代で撃沈する「住宅ローン返済額」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

ローン返済から30年後…撃沈の70歳

70歳になった時点でも住宅ローンの支払いは続いていましたが、建物の老朽化や夫婦2人とも高齢となったことでリフォームを考えるように。しかし、リフォーム代には300万円掛かるという見積もりとなり、結局断念することにしました。

 

家を購入する時点では子どもが小さいことが多く、仕事もバリバリにこなせる年齢であることや、奥さんがパートに出るなどによって、収入が多くなっていることも考えられます。しかし、子どもの成長とともに生活費も増えていく傾向にあり、インフレによる支出が増えることなども考えられるため、注意が必要です。

 

35年ローンを組む場合、ほとんどの人がそれまでの人生と同じくらいの借り入れを行うことになりますので、しっかりと将来のキャッシュフローを考えた返済計画が必要になります。

 

今回の山口さんのケースでは、住宅ローンを35年固定にしています。日本では過去20年以上も低金利の状態が続き、変動金利もとても低い水準で推移してきました。この金利水準をみると変動金利の低金利を借りれば返済額も少なく済むと思われると思いますが、この低金利がいつまで続くのか考えておかなくてはいけません。

 

ファイナンシャル・プランナーとして、将来の不確実なことに関しては、なるべくリスクを回避できる方法を考えます。住宅ローンに関しては、変動金利で将来の返済額が増減する不安定な借り方よりも全期間固定金利で、計画的に返済ができる方法のアドバイスをする場合があります。

 

2023年現在の世界情勢をみると、今後の日本は住宅ローン金利上昇の可能性が高まると筆者は考えます。また第三者からみた将来のキャッシュフローシミュレーションを行うことで、将来のお金の流れを可視化することもできるでしょう。

 

2022年の総務省の家計調査※2によると、65歳~69歳までの無職世帯の実収入の平均は27万7,757円ですが、実支出は32万647円と約4万3,000円不足しています。

 

今後住宅ローンを組む際に、65歳以上まで払い続ける場合には、収入より支出が多くなるということを念頭に置いた資金計画が必要になることも考えておきましょう。

 

 

 

吉野 裕一

FP事務所MoneySmith

代表