転職が当たり前の時代。そうはいっても、転職をしていい方向へ進む人ばかりというわけではありません。大学や高校を卒業してから、同じ企業に勤め続けていると、ある程度の昇給が見込めますが、転職を何度か繰り返したことで逆に収入が少なくなってしまったという人も少なくないのが現状です。本記事では、松下さん(仮名)の事例とともに40代~50代となっても収入が少ない場合のライフプランの考え方について、FP事務所MoneySmith代表の吉野裕一氏が解説します。
家賃5万円のアパートで4人暮らし、お小遣いは月1万円、昼食は185円の菓子パンで凌ぐ48歳・整備士の絶望の手取り額「これ以上なにを削れるのか」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

転職を繰り返し、収入が増えない!

現在48歳の松下さんは、20代~30代にかけて数回の転職を重ね、35歳のときに現在の働き先である地方の整備工場に整備士として就職しました。28歳で結婚、31歳のときには3歳と1歳の2児の父親となり、妻は育児に専念したいと育休からそのまま、それまで勤めていた会社を退職。家計は松下さんがすべてを支える一馬力となりました。

 

松下さんの35歳での転職時の収入は28万円で手取りでは23万円程度でした。それでも子どもがまだ小さいこともあり、支出も少なくやりくりはできていたようです。

 

住居は築年数が経過している家賃5万円のアパートで生活をしていました。郊外でもあったので、夫婦で1台ずつ車を所有しています。贅沢はできないものの、子どもの教育費の積立を行いながらも不自由ない生活は送っていました。

 

松下さんは、35歳以降、転職はしませんでしたが、小さな整備工場ということもあり、収入が大きく増えることもなく、48歳時の収入は33万円(手取り約26万円)となっていました。家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](令和4年)によれば、40代の平均手取りは月42万円程度のため、松下さんの収入は平均よりも下回っていることがわかります。

 

妻は、子どものクラブ活動の送り迎えやPTAなどの役員も行っていたので、仕事をすることもなく少ない収入のなかでもしっかりとやりくりしてくれていると感謝していました。

子どもの教育費が嵩み、節約生活へ…お金への不安から次第に気持ちが不安定に

子どもが生まれた直後から、教育費の準備として学資保険に加入し、保険料1万円ずつ2人の教育費を準備していました。しかし、1人目の子どもが大学進学の際に、予想以上にお金が必要になり、学資保険で受け取ったお金では足りず、教育ローンを借りました。

 

48歳の現在、2人目の子どもが来年には進学することを考えると不安を感じ、鬱の症状にも似た落ち込む日も多くなりました。妻にも働いてもらいたいと思っていましたが、稼ぎが少ないことに文句を言う強気な妻には本音を言えず、妻に家計のやりくりを任せながら、自分のお小遣いは減るばかりでいまは月1万円です。

 

お昼ご飯は毎日162円の菓子パンと缶コーヒーで済ませます。その菓子パンも最近値上げで185円になりました。