8月分「小売物価統計調査」結果発表…ガソリン価格高騰さらに深刻化!決して下がらない「ガソリン税」に、「JAF」が発表した「声明」の中身とは【税理士が解説】

8月分「小売物価統計調査」結果発表…ガソリン価格高騰さらに深刻化!決して下がらない「ガソリン税」に、「JAF」が発表した「声明」の中身とは【税理士が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

9月1日、総務省の「小売物価統計調査」のガソリン小売価格に関する結果が発表され、ガソリン価格高騰の深刻さが改めて浮き彫りになった。政府は「補助金」により対応してきたが、ガソリン価格に含まれる「ガソリン税」は手つかずのままだ。折しも前日にJAF(日本自動車連盟)がガソリン税の問題点を指摘する声明を発表した。ガソリン税をめぐる議論と今後の見通しについて、税理士・黒瀧泰介氏に話を聞く。

「Tax on Tax」(二重課税)の問題

次に、「Tax on Tax」というのは、「二重課税」ともいわれる問題です。ガソリンを購入するとき、ガソリン税はガソリン価格の一部なので、さらにそのうえに消費税がかかることになります。税金のうえにさらに税金が課されるということで「Tax on Tax」「二重課税」といわれるのです。

 

なお、これは理論的には「二重課税ではない」ということも不可能ではありません。なぜなら、消費税法では、価格に消費税相当額を上乗せするかどうかは販売業者が自己責任によって決めるしくみになっているからです。ただし、実際にはガソリンスタンドで消費税相当額を請求しないところは見たことがありません。したがって、少なくとも事実上は「二重課税」の問題が生じています。

 

このように、ガソリン税については、正当性・存在意義、税率について様々な問題が指摘されています。最近のガソリン価格高騰により、その問題がより浮き彫りになっているといえます。

 

政府は当面、事業者に対する「補助金」で対応する姿勢を示しています。先日は鈴木財務大臣が「トリガー条項」の発動を否定しました。それは、ガソリン税が国・地方の税収としてきわめて大きな役割を担っている実態を重くみてのことです。ガソリン税の税収は、2023年度予算では、2兆2,129億円(揮発油税1兆9,990億円、地方揮発油税2,139億円)となることが見込まれています(財務省「自動車関係諸税・エネルギー関係諸税(国税)の概要」参照)。もしトリガー条項が発動すると、この税収が大幅に減少するということになります。政府としても苦渋の決断だったかもしれません。

 

しかし、ガソリン価格の高騰は長期化する可能性もあります。また、国民の生活が苦しくなれば、経済活動が停滞し、税収の減少にもつながります。そのことからすれば、ガソリン税のあり方をどうするかということについて、正面から議論すべき段階にきているのかもしれません。

 

 

黒瀧 泰介

税理士法人グランサーズ 共同代表

公認会計士

税理士

 

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