「Tax on Tax」(二重課税)の問題
次に、「Tax on Tax」というのは、「二重課税」ともいわれる問題です。ガソリンを購入するとき、ガソリン税はガソリン価格の一部なので、さらにそのうえに消費税がかかることになります。税金のうえにさらに税金が課されるということで「Tax on Tax」「二重課税」といわれるのです。
なお、これは理論的には「二重課税ではない」ということも不可能ではありません。なぜなら、消費税法では、価格に消費税相当額を上乗せするかどうかは販売業者が自己責任によって決めるしくみになっているからです。ただし、実際にはガソリンスタンドで消費税相当額を請求しないところは見たことがありません。したがって、少なくとも事実上は「二重課税」の問題が生じています。
このように、ガソリン税については、正当性・存在意義、税率について様々な問題が指摘されています。最近のガソリン価格高騰により、その問題がより浮き彫りになっているといえます。
政府は当面、事業者に対する「補助金」で対応する姿勢を示しています。先日は鈴木財務大臣が「トリガー条項」の発動を否定しました。それは、ガソリン税が国・地方の税収としてきわめて大きな役割を担っている実態を重くみてのことです。ガソリン税の税収は、2023年度予算では、2兆2,129億円(揮発油税1兆9,990億円、地方揮発油税2,139億円)となることが見込まれています(財務省「自動車関係諸税・エネルギー関係諸税(国税)の概要」参照)。もしトリガー条項が発動すると、この税収が大幅に減少するということになります。政府としても苦渋の決断だったかもしれません。
しかし、ガソリン価格の高騰は長期化する可能性もあります。また、国民の生活が苦しくなれば、経済活動が停滞し、税収の減少にもつながります。そのことからすれば、ガソリン税のあり方をどうするかということについて、正面から議論すべき段階にきているのかもしれません。
黒瀧 泰介
税理士法人グランサーズ 共同代表
公認会計士
税理士
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