いまや会社員にとって当たり前の選択肢になった「転職」。「収入アップ」を目的に経験を活かせる仕事に就くのか、「収入ダウン」でも、チャレンジングな仕事を求めるのか…判断基準は人それぞれですが、勢いだけで転職を決めると、後悔してしまうことも。本記事では、高給取りの大企業係長から異業種ベンチャー課長への転職を決断した40代男性を例に、転職と給与についてみていきます。
年収800万円超の大企業・係長「尊敬できる上司がいない」…〈チャレンジ〉を求めて異業種ベンチャーに転職も、“ちょっと後悔”の給与額 (※写真はイメージです/PIXTA)

男性会社員の転職理由は「労働条件」への不満

厚生労働省『令和4年雇用動向調査』によると、2022年1年間の入職者数は 779万人、離職者数は765万人。男性の転職入職者率を年齢別にみてみると、20~50代まで下降線をたどり、60歳定年を機に、大きく跳ね上がります。

*1:常用労働者数に対する入職者数の割合で、「入職者数」÷「1月1日現在の常用労働者数」×100で算出

 

【年齢別「サラリーマンの転職入職率」】

20~24歳:14.7%

25~29歳:15.3%

30~34歳:9.5%

35~39歳:7.7%

40~44歳:5.7%

45~49歳:5.4%

50~54歳:5.1%

55~59歳:5.7%

60~64歳:11.4%

 

出所:厚生労働省『令和4年雇用動向調査』より

 

22年の転職入職者(男性)が前職を辞めた理由としてもっとも多いのが、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」(9.1%)というもの。次いで、「職場の人間関係が好ましくなかった」(8.3%)、「給料等収入が少なかった」(7.6%)が続きます。

*「個人的理由」と「その他理由(定年や会社都合など)」に分類された離職理由のうち、個人的理由から「その他の個人的理由」(19.6%)を除く

 

「給料が少ない」という理由よりも、「労働環境」や「職場の人間関係」に不満を抱き、転職を決断している人が多いことがわかります。

 

「尊敬できる上司が1人もいない」

 

SNSでそう呟いたのは、40代の男性会社員・Kさん。知名度も抜群の大手メーカーで、営業部・係長の任に就いているようです。

 

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』で、大卒男性・大企業(従業員規模1,000人)・製造業の平均給与をみてみると、係長クラスで月収43万5,000円、年収831万円。同年代の平均給与は月収34万9,000円、年収563万円ですから、かなりの高給取りです。

 

続く投稿で、「あんな50代にはなりたくないと思った」と呟いたKさん。年収800万円を捨て、従業員の平均年齢が現職より10歳以上若いSaaS系企業への転職を決めたといいます。