会社員でいるからには、高い給与を貰う「高給取り」を目指したいもの。しかし、この30年間でほとんど給与が上がっていないといわれる日本では、あまりに「高給取り」へのハードルは低いことが明らかになりました。みていきましょう。
月収48万円…日本で「高給取りサラリーマン」の〈切なすぎるリアル〉 (写真はイメージです/PIXTA)

上位10%で年収700万円…日本で「高給取り」は身近な存在

給与分布をみていきましょう。月収の中央値は27.2万円。下位25%で21.7万円、下位10%で18.1万円。一方、上位25%で36.1万円、上位10%で48.4万円。月収60万円以上となると4.54%。日本人の上位5%という、本当に限られた高給取りとなります。

 

同調査によると、賞与は平均、月収の2.84ヵ月分。単純計算、日本人の上位10%は年収700万円超、上位5%で890万円程度だと考えられます。会社員なら高い給与を貰う「高給取り」を目指したいものですが「700万円で上位10%」と意外にも身近な水準なのです。

 

一方で厚生労働省『令和4年 就業構造基本調査』で「正社員・正職員」の給与分布をみていくと、最も多いのは「年収300万円台」で20.5%。正社員でさえ、5人に1人は年収300万円台で、さらにそれよりも給与水準が低い層も含めると45.3%に達します。少々空しい気持ちもありますが、このような状況を鑑みると年収700万円でも十分高給取りといえそうです。

 

OECDによると、90年代初頭、日本人の平均年収は世界主要国で4位、G7の国に限るとトップでした。その状況が変わり始めたのは2001年。日本は米国に抜かれG7で2位になると、そこから坂を転げ落ちるように順位を下げていき、2022年ではG7の国のなかで6位。7位「イタリア」との差もわずかです。また世界主要38ヵ国のなかでは21位。お隣韓国にも抜かれました。

 

「年収700万円で高給取り」といえる何とも切ない状況にある日本。さらに転げ落ちていくのか、それともここで踏ん張り、浮上のきっかけを掴むのか。いまが正念場だといえるかもしれません。