「給与が全然上がらない!」は、もはや日本のお家芸
厚生労働省が毎月発表する『毎月勤労統計調査』によると、名目賃金(現金給与総額)は46万2,040円で前年同月比2.3%増。一方で、物価変動の影響を加味した実質賃金は1.6%減と、15ヵ月連続の前年割れを記録しました。
一時期、賃上げの動きが加速し、物価上昇分を上回ると期待されていましたが、いまのところ効果は限定的。実際に実質賃金がプラスになるのは、まだ当分先のことになるだろう、というのが大方の見方です。
内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局『賃金・人的資本に関するデータ集』によると、1991年から30年間の日本の賃金上昇率は1.05倍と、ほぼ横這い。それに対し、イギリスは1.48倍、アメリカは1.41倍、フランスやドイツは1.34倍と日本だけが低水準です。それでも日本人はデフレのなか、給与が上がらなくても生活水準を保つことができることを経験し、賃金が上がらないことに特に危機感を抱かなかったのです。
しかし、昨今の物価上昇により、そうは言っていられなくなっています。
そもそも日本人の給与がどれほどかといえば、平均月収(所定内給与)で31.1万円、賞与も含めた年収で496.5万円(厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』より)。
【年齢別・日本人の平均年収】
~19歳:2,554,300円
20~24歳:3,271,800円
25~29歳:4,035,900円
30~34歳:4,568,500円
35~39歳:5,086,500円
40~44歳:5,406,000円
45~49歳:5,635,300円
50~54歳:5,877,500円
55~59歳:5,902,900円
60~64歳:4,448,000円
65~69歳:3,602,800円
70歳~:3,224,100円
出所:厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』より
※数値は、男女、学歴計、従業員10名以上企業対象
賃金上昇率がほぼ“1”ということは、30年前もほぼ、この給与水準だったということになります。名目賃金も実質賃金も上がらないのが、もはや日本のお家芸といえるでしょう。