職種や企業規模だけではない…社内での給与格差
厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査「職種(大分類)別きまって支給する現金給与額」によると、男性の給与額は次のようになっています[図表1]。
職種や企業規模により、給与の差というのはどうしても現れますが、「同じ会社のなかで、しかも同期」であっても差が出てきているのをご存じでしょうか? 日本では、同期入社というと給料は横並びが当たり前だったのですが、2000年ごろから「成果主義」「能力給」が注目され、同期入社の社員の年収にも差が出てくる企業も増えてきました。
あるIT企業に勤める40歳のAさんは、「うちの会社は給与格差は大きいと思いますよ。僕は年収1,200万円くらいで同期のうちでは1~2番目に多いです。人をまとめるのがうまかったり顧客から信用されたりすると、仕事もうまく取ってくるので、そうした意味で能力差による給与は大きな差が出ます。同期だと7~800万円が多いかな。逆にあまりスキルが上がらない人間は500万円もないかと。同期でも年収は最低と最高じゃ3倍くらい違うと思います。本人にははっきりとは聞けませんがね」と言います。
正社員と派遣社員の格差の話題はよく聞きますが、同じ社内で同期の人間の収入にこれだけの開きが出てくる実力主義の企業も日本では増えてきているようです。
「勝ち組」「負け組」という言葉も給料の格差が出てきたころから使われるようになったような気がします。「一億総中流社会」と呼ばれた時代が懐かしいですね。ただし、年収や資産の違いだけで「勝ち組」なのか「負け組」なのかを判断するのは少し違うような気もします。
今回は、筆者の事務所のいままでのお客様や相談者の方々からそれぞれの年代で感じる「格差」について、お話を伺ってみました。
※一部脚色して記載しています。
大企業勤務の35歳サラリーマン…「同窓会」で実感する格差
大学卒業後に都内のコンサル系企業に就職し、順調に出世街道を進む35歳のサラリーマンのBさん。今年初めて年収が1,000万円台に乗りました。久しぶりに地元(関東地方)へ帰り、高校の同窓会に出席しました。7割くらいの同級生が参加しましたが、まだ独身の人、3人も子どもができた人、すでに離婚した人、外見がすでに誰だかわからなくなっている人……などさまざまです。
初めは高校時代の懐かしい話で盛り上がっていましたが、時間が経ってくると「どれ程の大企業に就職できたか」といったような自慢話や、参加しなかった人の「あいつ、引きこもりになっちゃったらしいよ」といった噂話に変化してきました。
高校時代にはさほど感じなかった「格差」というものをBさんはこのとき感じたような気がしました。
「やっぱりいい大学を出て大企業に就職して高収入だと『勝ち組』になるんですかね。起業して一発当ててタワマン住んだりね」
最近、出世競争に疲れていたBさんは純粋に高校生のころに一緒に遊んだりスポーツしたりした同級生と昔のようにワイワイやりたかったのですが、なんだかガッカリしてしまいました。
「次の同窓会はもう参加しないかな」