超低金利の環境下にある日本では、投資による資産形成の重要性が強く指摘されるようになっています。ただ、一口に「投資」といってもアプローチは人によってさまざま。本稿では、テクニカル分析の解説サイト『テクニカルブック』を運営する株式会社アドバンの代表取締役・田中勇輝氏が、「Z世代」と「バブル世代」の投資家2人を例に挙げ、世代による投資アプローチの違いを解説します。
FX・暗号資産にも挑戦する26歳「投資女子」とリスクを取らない57歳「サラリーマン投資家」…成果への満足度に表れた顕著な差 (※写真はイメージです/PIXTA)

投資に対する姿勢が成果に直結している可能性

直近1年間の投資成果について、西原さんはやや満足とポジティブに捉えているのに対して、東さんは可もなく不可もなくという感想。経験豊富な東さんよりも、若い西原さんの方が良い成果が出ているように見えますが、この結果には2人の投資に対する姿勢が影響しているのかもしれません。

 

西原さんは日々情報収集に励みながら投資に関する経験値を積み重ねており、テクニカル分析も学びながら投資判断の精度を上げようと努力しています。またその情報収集はデジタルネイティブらしく、パソコンやスマートフォンのさまざまなツールを使いこなしており、SNSも活用して幅広い情報に触れているのも特徴です。

 

それに対して東さんは投資歴は長いものの、いまでは投資の勉強に時間を使うこともなくなり、経験頼りの直感的な投資を行っています。情報源は新聞や経済誌が中心で、得ている情報には即時性がありません。

 

こういったことを踏まえると、西原さんの方がより良い成果を得られたのは自然なことのようにも考えられます。実はこのような傾向は西原さんと東さんの2人だけに特有のものではなく、Z世代とバブル世代全体にもみられるものなのです。

 

若い人の方が投資の分析を真面目に行う傾向あり

世代による投資アプローチの違いを分析した独自の調査によると、世代が上がるほど投資判断を行うにあたって分析をおろそかにする傾向があることが明らかになりました(※本調査では、20~29歳をZ世代、30~39歳をミレニアル世代、40〜49歳を氷河期世代、50〜59歳をバブル世代、60歳以上をシニア世代と表現しています)。

 

 

 

上のグラフの薄い水色の部分は何らかの分析を行っている人の割合で、濃い青色の部分は分析を行っていない人の割合です。分析している人の割合はZ世代がもっとも多い74.2%で、バブル世代がもっとも少ない36.9%となっています。

 

このデータからは、投資判断をするにあたっては、若い人ほど真面目に分析を行っていることが読み取れます。これとは逆に、年代が上の世代ほど直感に基づいて明確な根拠を持たずに投資判断をする傾向が強いことがわかります。

 

 

また、過去1年間の投資成果について質問したところ、「非常に満足/やや満足」と回答した割合(赤で囲んだ部分)がもっとも多かったのもZ世代で62.2%です。バブル世代の割合は36.9%と最下位でこそありませんが、Z世代に比べると非常に低くなっています。

 

これらのデータからは、西原さんと東さんのようなケースが決して少なくないことがわかります。投資成果に満足している人の割合がZ世代に多い背景には、投資に向き合う彼らの姿勢が少なからず関係しているようです。