過去の公的年金流用問題で年金不信に陥った人が増えたことにより、年金納付率は一時落ち込みました。現在では回復している納付率ですが、少子高齢化が進み、年金不信の考えを持つ人はいまだに一定数います。では、「どうせ大してもらえないから払いたくない」と年金を未納にしていた場合に、受け取れる年金額はどの程度なのでしょうか? 73歳の水谷さん(仮名)の事例をもとにFP事務所MoneySmith代表の吉野裕一氏が解説します。
「年金15年間未納」の73歳・アルバイト、大後悔…死ぬまで働くしかない「年金受給額」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

15年間、国民年金未納だった水谷さんの年金受給額

水谷さんは、15年間の国民年金未納期間があるものの、正社員として勤めていたときだけ年金保険料を支払っていたため、平成15年3月までに27年の加入時期があり、国民年金の給付条件の25年は納付していました。平成15年3月までの老齢厚生年金の受給額は、

 

平均標準報酬月額×7.125÷1,000×平成15年3月までの加入期間の月数

 

で計算することができます。水谷さんの平均標準月額は25万円、加入期間の月数は324ヵ月であるため、受給額は57万7,125円となります。したがって、60歳からの報酬比例部分は2ヵ月に1度、9万6,187円を受け取ることになります。

 

65歳からは老齢基礎年金が加わり、現在は68歳以上の満額月額6万6,050円の300ヵ月/480ヵ月として、2ヵ月に1度8万2,562円を受け取れるようになりました。合わせると17万8,749円、月額にすると8万9,374円を受給しています。

 

老齢年金を受け取っても9万円弱の収入では、家賃や食費や光熱費などですべて使い果たしてしまいます。しかし、新聞配達のアルバイト代の月手取り6万円があるので、貯蓄はできないものの、なんとか生活を送ることはできていました。

 

とはいえ、アルバイトをしなければ生活は成り立たない状態で、73歳となりアルバイトを辞めたくても辞められない状態が続いています。特に、最近は円安や原油高などの影響で、生活費を切り詰めなければなりません。

現役時代から計画的に老後のことを考える

最近では、スマホやパソコンが使えるようであれば、ポイントがたまるようなサービスやキャッシュバックを受けられるサービスも多くあります。しかし、ITに疎いことから敬遠される高齢者もいらっしゃいます。ただ使い方によっては、モノやサービスをお得に買ったり利用できたりすることになるので、最初は不慣れでも使って、慣れていくことを考えてもいいのかもしれません。

 

ただ、やはり人生100年時代といわれるように長寿化が進んでいることで、収入が減少しても生活し続けないといけない時期が来ることは念頭に置いておかなくてはいけません。公的年金も75歳まで繰り下げ受給が可能となり、65歳から受取よりも84%も多く受け取ることが可能となります。

 

これからは、いつまで現役で働くか、リタイアしたい場合にはいつまでにどれくらいの資金を準備しておけば安心か、ということを若いうちから計画的に考えておく必要があるのではないでしょうか。

 

<参照>

 

厚生労働省;国民年金の加入・納付状況

https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/toukei/k-nenkin/

 

 

吉野 裕一

FP事務所MoneySmith

代表