多くの企業で定年は60歳、そのあとは再雇用で働き続けることができるという昨今。定年から年金支給の始まる65歳まで働き、そのあとは年金生活、というのがお決まりのパターンです。しかしその後も働き続ける人たちがいます。「仕事が生きがい」という人から、「働かないと生きていけない」という人まで理由はさまざま。仕方なく働き続ける人たちの理由とは?
手取り13万円、実は「元・大企業部長」の75歳コンビニバイト…勝ち組エリートたちが「定年後も働き続ける」残念な理由 (写真はイメージです/PIXTA)

70代・元エリートでも「仕方なく働く」2つの理由

内閣府『令和5年版高齢社会白書』によると、仕事をしている60歳以上の36.7%が「働けるうちは働きたい」と回答。さらに「80歳くらいまで働きたい」が7.6%、「75歳くらいまで働きたい」が19.3%。これらを足すと6割強。そう考えると、冒頭の75歳の元・部長は、「働きたいから働いている」という積極的な理由でコンビニバイトをしている可能性も。

 

ただ「生活はそれほど楽ではないらしい」という呟きを鑑みると、「仕方なく働いている」という可能性のほうが高いといえるでしょう。高給取りエリートだったにも関わらず、年金世代になってもバイトを続けなければいけない……考えられる理由は大きく2つ。

 

理由①収入の壁に対応できなかった

サラリーマンには大きく2つの収入の壁があります。まず「定年→再雇用」のタイミング。現在、多くの企業で60歳定年、以降は雇用形態を変えて働くこともできる、という体制が取られています。原則、65歳から年金支給の現状、収入なしの空白の5年を埋めるためにも、できればこのまま働きたいと希望する人が7~8割にのぼるとされています。しかし再雇用となると、それまでの収入から3割減に。さらに役職もなくなるので、5割以上も減少というケースも珍しくありません。

 

もうひとつの壁が「現役引退→年金生活」というタイミング。給与収入がゼロとなり、収入のほとんどが年金となるタイミングで、また収入は3割減となります。

 

この収入に合わせて、ライフスタイルも変えていければいいのですが、なかには「生活水準を落したくない!」という人も。その場合、それ相応の貯蓄をしておくか、現役引退を撤回するかの二択となります。

 

理由②住宅ローンが残っている

現在、住宅購入者の平均年齢は40歳前後。ローンの返済は平均30~35年です。完済は70代というのも珍しくありません。また最近は不動産価格の高騰で、年収に対する物件の比率である年収倍率は上昇傾向。つまり、以前よりも多くの借入をしてマイホームを実現するケースが増えているのです。そうなると繰上返済をして、早く完済するというのも難しく、70代でもローンを抱えていることになります。

 

これら2つの理由は、エリートに限らず、誰にでも起こりうることです。長い長い会社員人生。定年を迎えても働くなら、できれば「仕事は生きがい」というスタンスで働きたいもの。そのためにも「収入の壁」と「住宅ローン」の対策は、しっかりとしておきましょう。