なぜ「母子世帯」は低収入なのか?
厚生労働省『令和3年度全国ひとり親世帯等調査』によると、ひとり親世帯は134.4万世帯。そのうち、母子世帯が119.5万世帯、父子世帯が14.9万世帯と、圧倒的に母と子の組み合わせが多くなっています。
ひとり親になった理由はさまざまですが、母子世帯の場合、圧倒的に多いのが「離婚」で79.5%。続く「死別」は5.3%。一方で、父子世帯の場合、圧倒的に多いのは「離婚」69.7%と変わりませんが、続く「死別」は21.3%と、母子世帯の4倍程度になっています。
親の就業状況をみていくと、母子世帯では86.3%、父子世帯では88.1%と、若干の差はあれど、ほぼ同等。ただし、その中身をみると大きな差があります。
母子世帯では「正社員」が48.8%と過半数を下回り、一方で「パート・アルバイト」が38.8%と4割に迫ります。一方で父子世帯の場合、「正社員」が69.9%に対し、「パート・アルバイト」が4.9%。この差は収入面で大きな差となり現れます。母子世帯の場合、母の仕事による収入は平均236万円、その他の収入を含めて272万円。一方、父子世帯では、父の仕事による収入は平均496万円、その他収入を含めて518万円。倍近くの収入差となっています。
なぜ、母子世帯はパート・アルバイトをはじめとした「非正規社員」が多いのでしょうか。ひとつの理由として、結婚・出産時に仕事を辞めてしまい、キャリアが中断してしまうケースが多いから。離婚を機に再び仕事を始めようとしても、空白期間があるため、なかなか正社員として採用されないのです。
もっとも、シングルマザーに限らず、働く女性の非正社員率は非常に高く6割程度となっています。いまだに「男性は仕事、女性は家庭」という意識は根強く、結婚・出産のタイミングでの就業継続率は5割程度。子育てがひと段落したからと再就職する際は、非正規社員になるケースが多いのが現状です。このようなしわ寄せをシングルマザーは一番に受けています。